研究課題/領域番号 |
17K09509
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 一郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (90616616)
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研究分担者 |
筒井 裕之 九州大学, 医学研究院, 教授 (70264017)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Fontan手術後 / 中心静脈圧 |
研究実績の概要 |
本研究は成人到達後のFontan循環症例における肺血管拡張薬の有用性に関する研究である。心臓カテーテル検査を施行した成人Fontan手術後症例において、酸素負荷・NO負荷を行い、その結果から肺血管拡張薬のresponderを見つけることを研究の目的としていた。 初年度の検討結果から、心臓カテーテル検査を用いて急性効果試験より酸素単独投与にてFontan術後遠隔期予後不良因子と思われるSpO2の低下改善、中心静脈圧上昇の改善が得られ、肺血管拡張薬を使用せずとも、より安価な酸素の投与でFontan手術後症例の予後改善が期待できると考えた。この急性期の酸素負荷試験の結果については、高流量酸素(O2 mask 10L/min)の投与と低流量酸素(O2 nasal 2L/min)の投与での検討結果を第83回日本循環器学会学術集会でも発表した。学会では高流量と低流量での反応性の違いなどを質問されたが、現疾患や患者の状態により異なるのではないかと考えた。 現在酸素負荷試験の結果を細かく解析中であり、酸素のresponderとnon-responderが存在する可能性が考えられた。具体的には極めて状態の良いFontan循環と、正反対の状態の悪いFailing Fontan症例では酸素投与では中心静脈圧の低下が認められない傾向があった。つまりFailing Fontanに至る前の症例において、酸素投与の短期的な効果があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の肺血管拡張薬から酸素に変更して研究を進めることで、有意に中心静脈圧が下がることが明らかにできている。
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今後の研究の推進方策 |
酸素投与による中心静脈圧低下の機序に関しては、現在のデータからは未だはっきりとしたことは分からない。今後症例数を集めるとともに、responderとnon-responderの違いを明らかにすることを研究の第一目標としておる。 長期的にはresponderが期待される症例に対して、在宅酸素療法を行うことで生命予後改善が期待できないかを検討して行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は当初NO負荷による効果を推定していたが、その後高流量酸素→低流量酸素と研究内容が変化してきた。最終的には臨床使用可能な低流量酸素での効果が示せるようになってきたが、それまでの試行錯誤のため学会発表や統計解析・論文化に時間を避けなかった。そのため研究費が繰り越しになった。
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