研究課題/領域番号 |
17K09510
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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研究分担者 |
琴岡 憲彦 佐賀大学, 医学部, 寄附講座准教授 (10404154)
尾山 純一 佐賀大学, 医学部, 寄附講座教授 (30359939)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性心不全 / 緩和医療 / 終末期医療 / チーム医療 |
研究実績の概要 |
心疾患の終末期医療の実態を調査し、心不全の終末期において緩和医療の導入を困難にしている原因を明らかにすることによって、緩和医療を推進する方法を検討した。さらにその方法を実際に運用することによって問題点を明らかにし、解決することによって社会に広く受け入れ可能なシステムを創出した。そのために、これまでに構築した病診連携、介護医療従事者とのネットワークを有効活用し、ICTを用いた遠隔モニタリングシステムを利用して患者の生体情報を日々収集および監視することによってマンパワーを補うとともに、患者・家族と全ての医療従事者間の連携を手助けした。 Ⅰ.在宅及び介護の現場における終末期心不全患者の実態を調査した。地域の在宅医療を積極的に行っている病院・医院や、訪問看護ステーション、ケアマネージャー、介護福祉士らを対象に、通院患者や入所者に関する実態調査を行った。 調査内容 1.医療機関の種類、規模 2.終末期の心不全患者の有無、割合 3. 心疾患の診断名 4.終末期の心不全患者の主たる診療担当者 5.終末期の心不全患者において最期を迎える場合の医療の方針について、患者または家族と話し合われているか 6.話し合われている場合、その具体的方針 7.決められていない場合、どのように対処する予定か Ⅱ.終末期の心不全患者において緩和医療を推進するためのコンセンサスを形成する循 環器内科医、プライマリーケア医、緩和医療専門医、精神科医、看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、薬剤師などの多職種により、終末期心疾患患者の緩和医療についての検討を行う組織を構築し、緩和医療が適応となる心疾患、適応となる状態の判断基準、緩和医療を避けるべき状態、心疾患に緩和医療を行う場合の問題点とその解決方法について検討を行った。その結果を積極的に医学会および社会に発信し、コンセコンセンサスを形成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度予定の研究計画は順調に遂行され、上記のような結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30,31年度 当科において慢性心不全の遠隔モニタリングを運用した。これは、慢性心不全患者において、退院後の医療従事者の連携と患者・家族による自己管理を支援するために、ICTを活用した遠隔モニタリングを使用して患者の生体情報を共有することにより、心不全の増悪による再入院を予防することが目的である。インターネットに接続するための装置を患者の退院時に自宅に設置し、血圧、体重を測定するだけで測定結果がサーバーに即時送信され、当科の専任の看護師が毎日モニタリングを行い、測定結果に基づいて指導を行うことや、異常値を認めた場合には主治医や担当看護師に連絡されるシステムとなっている。 本研究では、この既存のシステムを心疾患患者の在宅緩和医療に応用することが可能であるか検討を行う。必要に応じて、酸素飽和度、心電図モニタリングが可能にするためにシステムの改良を行う。遠隔モニタリングを活用した循環器内科医とプライマリーケア担当者の連携による、終末期心疾患患者の在宅緩和医療を実施する。 1. 在宅訪問診療を積極的に行っているプライマリーケア医と訪問看護師、本研究の循 環器内科医が連携して在宅緩和医療を行うための医療連携を構築する。 2. 佐賀大学病院または連携病院において、在宅緩和医療を希望している退院予定の終 末期心疾患患者に対して、ケアマネージャーを中心に、医師、看護師、介護福祉士 などによる多職種のチームによって緩和医療の適応、方法についての検討を行った 上で、在宅緩和医療の方針を決定する。 3. 在宅人工呼吸器療法、在宅酸素療法、心電図、酸素飽和度、血圧、体重、活動量、 ペースメーカー、植え込み型除細動器などに対する遠隔モニタリングを患者の状態 に合わせて選択し実施する。
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