研究課題
スタチン投与はプラーク安定化および退縮効果をもたらすため標準療法としてガイドラインで推奨されている。しかし充分なスタチン療法を行っても心血管イベントが発症する、いわゆる残余リスクが大きな問題となっている。残余リスクに関しては、腎機能障害、貧血などさまざまなリスク因子が挙げられるが、その機序は不明である。エイコサペンタエン酸(EPA)は、残余リスク介入において最も期待される薬剤である。スタチンにEPAを追加することにより心血管イベントが抑制されることが本邦から報告されているため、EPAは残余リスク介入において最も期待されている薬剤の一つであるが、心血管イベント抑制効果の機序は不明であった。EPAの多面的な抗動脈硬化作用のうち、マクロファージ(Mφ)及びMMP-9抑制がプラーク安定化のキーポイントになると推察されるが、生体内のMφおよびプラーク局所の炎症性活動性評価方法が無く詳細は不明である。一方、光干渉断層法(OCT)は菲薄化した線維性被膜やMφを生体で評価可能であり、我々はOCTを用いた生体内Mφ定量評価法およびプラーク局所の炎症性マーカーの評価法を 開発した。本研究の目的は、網羅的に炎症マーカーを探索し、スタチンの残余リスクに関しての、EPAによるプラーク安定化効果のキーポイントであることを明らかにし、前向き臨床試験から炎症の評価などを用いた患者層別化がEPAのプラーク安定化効果を予測できるかを検討することである。
3: やや遅れている
日本循環器病学会などでの中間発表を行ったが、網羅的な炎症マーカーの探索に難渋している。また、新型コロナ感染症対応における診療業務の負担増加により、当該研究のエフォートが低下した。さらに新型コロナ感染症による学会停止などの影響を被ったが、論文作成など行動制限の影響を受けない形式で、研究を遂行している
研究共同者の西口がスタチンのプラーク安定化に対する論文が発表になり、それに伴いスタチン以外のプラーク安定化に対する残余リスク介入を行っている。研究者も、貧血のリスク因子を検討しているが、さらにプラークの安定化すなわち急性冠症候群の発症に対する予防に、総合的なアプローチで行う予定である。
社会的なコロナウイルスの影響で、多くの学会が中止やオンラインに変更になり、旅費が少なくなり、使用できなかった、引き続き症例の登録を行いデータの収集を行うために部品費、人件費を利用する。本年度も学会に参加し、その後の結果の解析、検討を行い国内外の学会で発表する。学術誌への論文構成費、査読、掲載料に用いる。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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