研究課題
スタチン投与はプラーク安定化および退縮効果をもたらすため標準療法としてガイドラインで推奨されている。しかし充分なスタチン療法を行っても心血管イベントが発症する、いわゆる残余リスクが大きな問題となっている。残余リスクに関しては、腎機能障害、貧血などさまざまなリスク因子が挙げられるが、その機序は不明である。エイコサペンタエン酸(EPA)は、残余リスク介入において最も期待される薬剤である。スタチンにEPAを追加することにより心血管イベントが抑制されることが本邦から報告されているため、EPAは残余リスク介入において最も期待されている薬剤の一つであるが、心血管イベント抑制効果の機序は不明であった。EPAの多面的な抗動脈硬化作用のうち、MMP-9抑制がプラーク安定化のキーポイントになると推察されたため、我々は、まず局所のMMP-9とマクロファージなどのOCT所見から、局所MMP-9レベルが心筋梗塞患者の早期臨床症状を決定する可能性を証明し論文で発表した。本年度は動脈硬化の局所的な炎症活性についてさらに着目し、ST上昇型心筋梗塞患者は入院時の血糖値とMMP-9値には正の相関があることと、心臓MRI検査において認められた予後不良因子である心筋内出血がある患者は非出血群と比較し入院時の血糖値が高いことを報告している。これにより入院時の血糖値がにより予後を決定する患者層別の方法として優れていると考えた。また本年度は、魚食など食習慣の異なるタイ国と心筋梗塞と気候を比較した研究を実施した。平均気温が一定であるタイ国でも心筋梗塞患者の月ごとの変動が多く、気温と湿度に正の相関、気温と気圧には負の相関関係を認めた。以上から気温だけではなく、他の気候条件も心筋梗塞の発症機序に関与している可能性を明らかにし、それを発表している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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