研究課題
心臓突然死を来す循環器疾患のうち、器質的には異常を認めないが致死的不整脈を来す疾患群が存在する。代表的なブルガダ症候群は若年性突然死の原因とな り、特に働き盛りの男性に発症する。約20%にイオンチャネル蛋白の責任遺伝子異常を認めるが未解明な点も多い。申請者はブルガダ症候群で発生する電気的ス トームは日内・週内・季節変動することを初めて一連の患者で報告した。ブルガダ症候群の不整脈は夜間睡眠中に起きることが知られているが、不整脈の概日リ ズムのメカニズムの詳細は未解明である。ブルガダ症候群患者のゲノムを次世代シークエンサーで網羅的に解析し、ひいては概日リズムの分子生物学的背景を解 明することを目的として研究を行っている。これまでにブルガダ症候群患者の遺伝子サンプルは145例集積された。パネルまたはエクソーム解析を行い、SCN5A 12例、、SCN3B 2例、SCN10A 1例、GPD1L 1 例、デスモゾーム関連遺伝子 6例にrare variantを認めた。変異同定率は15%であった。このうち過去に不整脈発作がみられた症例については発症時間を夜間早朝および日中に分類して、変異同定率を検討した。
3: やや遅れている
症例集積も累計94例と順調であり、遺伝子解析も予定通り施行出来ている。機能的解析が未施行である。
ヒトの概日リズムは視交叉上核が時計中枢となり、時計遺伝子(CLOCK, BMAL1, Per, Cry)が調節に関わっているために、心室細動を心筋のチャネル病として捉えるだけでなく、概日リズムの分子生物学的機序と併せて病態を明らかにしていく。不整脈発作の発症時間の違いによる遺伝子変異の差異を明らかにしたうえで、変異チャネルの機能解析を行う。
研究代表者の所属機関の異動により研究が遅れたため研究費の使用を控えた。2020年度に研究を継続し使用する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
J Arrhythm.
巻: 36 ページ: 193-196
10.1002/joa3.12300.
巻: 35 ページ: 868-869
10.1002/joa3.12247.
J Cardiovasc Electrophysiol.
巻: 30 ページ: 2283-2290
10.1111/jce.14149.
Heart Lung Circ.
巻: 28 ページ: 1050-1058
10.1016/j.hlc.2018.05.197.
JAMA Netw Open.
巻: 2 ページ: e191145
10.1001/jamanetworkopen.2019.1145.
JAMA Cardiol.
巻: 4 ページ: 246-254
10.1001/jamacardio.2018.4925.
Am J Cardiol.
巻: 123 ページ: 1262-1266
10.1016/j.amjcard.2019.01.015.