研究課題/領域番号 |
17K09525
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村田 光繁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30317135)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 右室機能 / 肺高血圧 |
研究実績の概要 |
右室機能は、様々な肺高血圧症において独立した予後規定因子であることが報告され注目されてる。しかし、薬物治療や非薬物治療により右室機能がどのように改善するか、また肺高血圧症のetiologyが右室機能に及ぼす影響は不明である。Bone morphogenetic protein (BMP) type II receptor (BMPR-II)遺伝子異常のcarrierは、非carrierより予後不良として知られているが、carrierの方が薬物投与後の予後が良好であることも報告されている。そこで、我々は特発性肺高血圧症(IPAH)患者のBMPR2遺伝子異常の有無で右室機能に差があるかを確認する予定である。本年は、IPAH患者のBMPR2遺伝子異常の有無についてRT-PCR法を用いて検討中である。 右室は複雑な形態をしているため、従来の右室機能指標では右室機能を正確に反映できないことが指摘されている。そこで、我々は、心エコー図のスペックルトラッキング法や3D心エコー図を用いて右室機能をより正確に反映しうる指標を同定中である。本年は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症やIPAH患者の血行動態と右室strainや右室3D容積、駆出率との相関を検討し、従来の右室指標と比較し、2D strainや3D strain, 3DEFが血行動態をより強く反映することを明らかにした。 来年度は、BMPR2遺伝子異常の有無で、右室機能に差があるか、薬物反応性などを確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、右室機能の指標として、従来の心エコー図指標より3次元ストレイン、3次元右室駆出率が血行動態を良好に反映し、臨床的に有用であることを明らかにした。現在、IPAH患者のBMPR2遺伝子異常の有無を検索中であり、これらの結果と3次元右室機能指標の相関を見ることで、新たな知見が得られる可能性があり、現段階の研究進捗状況としてはおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、薬物治療、非薬物治療の効果をこれらの指標を含め検討し、臨床的に有用な指標、解析法などを同定する予定である。さらに、右室心エコー図指標とBMPR2遺伝子異常含めたetiologyを比較することによりどのような症例で右室機能が障害されるか、薬物感受性に違いがあるかなどを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年3月の国際学会への旅費を支出予定であったが、2017年度中には書類が間に合わず申請ができず2018年度にこの予算を持ち越したため(銀行引き落としの明細が2018年4月以降となるため)。
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