研究課題
右室機能は、様々な肺高血圧症において独立した予後規定因子であることが報告され注目されてる。しかし、薬物治療や非薬物治療により右室機能がどのように改善するか、また肺高血圧症のetiologyが右室機能に及ぼす影響は不明である。Bone morphogenetic protein (BMP) type II receptor (BMPR-II)遺伝子異常のcarrierは、非carrierより予後不良として知られているが、carrierの方が薬物投与後の予後が良好であることも報告されている。そこで、我々は特発性肺高血圧症(IPAH)患者のBMPR2遺伝子異常の有無で右室機能に差があるかを確認する予定である。本年は、IPAH患者のBMPR2遺伝子異常の有無についてRT-PCR法を用いて確認した。右室は複雑な形態をしているため、従来の右室機能指標では右室機能を正確に反映できないことが指摘されている。つまり、右室機能の変化を鋭敏に検出できない可能背がある。そこで、本年は、心エコー図のスペックルトラッキング法や3D心エコー図などの新規技術を用いてBMPR2遺伝子異常の有無で、右室機能に差があるかを解析した。BMPR2遺伝子異常のcarrierとnoncarrierでは、三尖弁輪移動距離、三尖弁輪移動速度などの従来の指標に有意差を認めなかったが、右室ストレインで解析した右室同期性はcarrierで良好な傾向を認めた。来年度は、両者で、3次元心エコー解析や薬物反応性などを確認する予定である。
3: やや遅れている
本年は、IPAH患者のBMPR2遺伝子異常の有無を検討し、遺伝子異常のcarrierとnoncarrierにおける右室機能の差異を検討した。この際、遺伝子解析にやや時間がかかったため、予定していた解析が全て終了できなかった。今後は、3次元右室機能指標の解析を進める予定である。
今後は、3次元右室機能指標の解析を進め、薬物治療、非薬物治療の効果をこれらの指標を含め検討し、臨床的に有用な指標、解析法などを同定する予定である。さらに、右室心エコー図指標とBMPR2遺伝子異常含めたetiologyを比較することによりどのような症例で右室機能が障害されるか、薬物感受性に違いがあるかなどを明らかにする予定である。
当初、国際学会参加予定で海外旅費を使用計画に含めていたが、国際学会参加ができなかったこと、また、研究のための消耗品も研究室に常備されているものでまかなうことができたため不要であった。残額を次年度に持ち越し、研究成果のための国際学会発表や薬品などの消耗品購入に当てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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