研究課題/領域番号 |
17K09526
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河野 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (60327509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心不全 / 突然死 / リスクモデル |
研究実績の概要 |
昨年度は、多施設共同レジストリー West Tokyo Heart Failure (WET-HF) Registry (参加施設:慶應義塾病院、榊原記念病院、杏林大学病院、聖路加国際病院、埼玉医科大学国際医療センターなど)のデータベースを再構築した。具体的には、従来の基本登録項目(①患者背景、②身体所見、検査所見、バイオマーカー、③治療 [薬物、非薬物]、④退院後予後/心不全入院)に、詳細死因(心臓死[心不全、心筋梗塞、突然死など]・非心臓死[脳卒中、腎不全、感染症、悪性腫瘍など])やリスクモデルに必要な情報を追加した。死因判断は高度な医学的知識が必要であり、医師による施設訪問、裁定システム委員会審議を繰り返し、追跡調査を完了した。その結果、米国においてVAD適応判断に使用される全死亡率予測モデルへの適合度が、本邦でも良好であることに加え、特有のリスク因子を加えた新規モデルの有用性を明らかにした。また、突然死頻度が欧米に比して少なく、本邦特有の規定因子を有することを報告した (Fukuoka R, Kohno T, et al. The Prevalence and Determinants of Sudden Cardiac Death in the Real-World Japanese Heart Failure Patients. 第78回日本循環器学会総会 2018年3月 大阪)。欧米でICDの有効性判断に用いる突然死予測モデルも、本邦で適合することを明らかにした。研究協力者である Dr Wayne Cecil Levy (University of Washington)とは、国際学会の会期中など含めdiscussionを重ね、精度を上げるべくリスクモデルの修正を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
死因を含めて長期予後の調査を終え、全死亡・死因別リスクモデルの検証を終えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度より、WET-HF2 Registryの開始を予定しており(慶應大学倫理委員会承認済み)、従来の評価項目に患者背景因子 (悪性腫瘍・認知症・frailtyなど) 観血的手技、心血管系有害事象 (脳卒中・出血)を追加する。これに伴い、より精度の高い死因別リスクモデル構築、より包括的な非薬物的治療の評価、非致死性合併症も踏まえた検証が可能になる。参加施設拡充 (8施設)も予定しており、合同会議 (4回/年; 次回 5月10日)での議論を踏まえて、精度を高めた死因別予測モデルの現場feedbackシステムの体制構築を今後予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、心不全予後、特にその死因、突然死の有無に関する精度の高い調査に加えて、心臓突然死リスク指標を探索するためのデータベース再構築が主体となる。データ収集とデータベース統合を行い、これを一括管理して質の高いデータとして維持するための人材(臨床コーディネイター)の雇用が必須となるが、管理に必要な費用が当初の予想を下回った。 また、国内各参加施設にデータベースのフィードバックをweb ベースで行うシステム構築は次年度以降に行うこととなり、繰り越しすることとしました。
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