研究課題/領域番号 |
17K09527
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
葛西 隆敏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60465036)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 急性非代償性心不全 |
研究実績の概要 |
前年度から引き続き、急性非代償性心不全(acute decompensated heart failure:ADHF)において、体液貯留、終夜体液シフトの制御に対する特異的アプローチによって、体液貯留・終夜体液シフトの是正、血中CO2レベルの上昇などを介して中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea:CSA)の重症度が軽減できるか否かを解明することを目的として、下記の介入試験を進めた。 1)ADHF・CSA患者に対する減塩強化に関する無作為化試験:ADHF入院患者のうち、初期治療による状態安定後にベースラインの睡眠ポリグラフ検査(PSG)、終夜体液シフト量の測定、経皮CO2モニタリングなどの各評価を行い、ベースラインPSGでCSAと診断された症例を通常減塩食(食塩6g/日)継続群と強化減塩食(食塩3g/日)群に無作為化に割付し4日後にベースラインで行った検査・測定・データ収集を反復した。現在までに15例を組み入れた。 2)ADHF・CSA患者に対する下肢弾性ストッキング(compression stocking: CS) 着用に関する無作為化試験:ADHF入院患者で退院前にCSAが確認されている症例を対象にして、退院前の段階で、退院後の日中にCSを着用する群と着用しない群に無作為化しフォローアップ評価を行う研究で、前年度は臨床研究法施行に関連した確認作業に時間を要した。特定臨床研究ではないが介入研究であり、今年度から新設された特定臨床研究の審議を執り行う臨床研究審査委員会での案件ということとなり、今年度中の申請がかなわなかった。次年度には申請を行うが期間内に終了することは困難と考えられたため、無作為比較化試験ではなく1群のプレ・ポスト研究にデザインを変更することも検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
強化減塩食の研究に関しては、前年度の遅れはあったものの、懸念された強化減塩食を4日でも継続できるという問題も起こらず、今年度は順調に症例を重ねることができた。一方で、下肢弾性ストッキング着用に関する無作為化試験に関しては、最終的に特定臨床研究には該当しないものの介入研究であり、今年度から新設された特定臨床研究の審議を執り行う臨床研究審査委員会での案件とされ、書類などをすべて刷新して提出することが必要となった。また、継続案件の審査を優先的に行うということであり、新規案件である本研究は後回しとなり、今年度中の申請がかなわなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
強化減塩食の研究に関しては、今年度は順調に症例を重ねることができ、次年度も症例数を確保し解析に入る予定である。下肢弾性ストッキング着用に関する無作為化試験に関しては、次年度早々に臨床研究審査委員会へ申請を予定しているが、審査に時間がかかる可能性もあり、現在の研究デザイン・計画では研究期間内に終了することは困難と考えられたため、無作為比較化試験ではなく1群のプレ・ポスト研究にデザインを変更し10~15症例で終了とすることも検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
下肢弾性ストッキング着用に関する無作為化試験に関して進捗の遅れに伴い消耗品などにかかるはずであった経費分が一部未使用となったことが次年度使用額となった理由である。次年度において、今年度遅れた分の組み入れ症例の検査などにかかる費用として使用する予定である
|