研究実績の概要 |
2010年から現在まで当院で大動脈弁狭窄に対し大動脈弁置換術を受けた成人症例を対象とした。該当症例は493例であった(AVR群)。そのうち中隔切除を併施されたのは45例であった(SEP群)。平均年齢はAVR=72.7, SEP=76.1, p<0.01、女性の割合AVR=49.5%, SEP=33.3%, p<0.05とSEP群が高齢で男性が多かった。平均BMI、高血圧および糖尿病の合併に有意差は認めなかったが、脂質異常症の合併はSEP群で有意に多かった(AVR=221 (44.8%), SEP=29 (64.4%), p<0.05)。術前の透析の有無に差は見られなかったが、CreはAVR群で有意に高かった(AVR=23.0, SEP=23.5, p=0.335)。eGFRに差はなかった。 術前の心エコーデータでは左房径に有意差は見られなかったが、SEP群でLVDdは有意に小さかった(AVR=47.5, SEP=43.9, p<0.01)。また中隔径はSEP群で有意に大きかった(AVR=11.5, SEP=12.7, p=<0.01)。一方で左室駆出率(LVEF)、左室内径短縮率(FS)はSEP群で有意に高かった(LVEF:AVR=64.7, SEP=69.2, p<0.05、FS:AVR=37.5, SEP=40.6, p<0.05)。 手術手技において、冠動脈バイパス術の合併手術はAVR=148 (30.0%), SEP=9 (20.0%)とAVR群で多い傾向が見られたが、有意差はなかった(p=0.159)。手術時間にも差はなかった(AVR=268.7 min, SEP=253.5 min, p=0.336)。術後合併症のうち、術後心房細動の発生頻度、人工透析(一時導入含む)および輸血の有無に差は認めなった。またICU滞在日数および術後在院日数にも差は認めなかった。
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