研究課題/領域番号 |
17K09530
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井上 紳 昭和大学, 歯学部, 教授 (00201335)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | atrioventricular node / nodal extension / 刺激伝導系 / dual AV node physiology / ganglionated plexi |
研究実績の概要 |
作成した連続切片標本20例から心房中隔脂肪組織内の結節組織を検索し、房室結節の上下、左右の弁輪上のcompact nodeからの伸展を観察した。右下方・三尖弁輪上に18例、左下方・僧帽弁輪上に14例の下方伸展(inferior extension)を認めた。左右の上方伸展(superior extension)を形成した。左上方伸展12例、右上方伸展14例が観察可能であった。大動脈弁無冠尖付着部裏面にはretroaortic node組織の付着が認められた。左右の上方伸展は同部位で再早期興奮部位が観察され、無冠尖バルサルバ洞で高周波通電が行われる奇異性速遅型房室結節回帰性頻拍症の基質を形成すると考えられる。また、retroaortic nodeは同部位で通電されるATP感受性心房頻拍の基質である可能性が示唆された。本研究の主要データは2018年8月、ミュンヘンにて開催された欧州心臓会議で発表した。また、その概要はAtrial and Atrioventricular Junctional Anatomy: Myocardial Orientation and Its Heterogeneityとして、Catheter Ablation, A Current Approach on Cardiac Arrhythmia, Springer, Kenzo Hirao Editorにて出版した。さらに、結節組織の機能解剖学を検討し、その成果を2019年12月、京都にて開催の第41回心筋生検研究会シンポジウム「心房筋および房室結節の組織多様性について―心房内・心房間・房室伝導に関する考察」として発表した。また、英語では2020年3月開催予定であったJCS2020にて発表予定であったが、コロナウイルスの影響で2020年8月に開催が延期となり、公表についてはWeb開催となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究の概要は倍率が高い欧州心臓会議で採択され、日本循環器学会では不整脈領域におけるTopicsとして会長より英文発表での機会を得た。またその成果の概要は、成書としてSpringerよりCatheter Ablation: A Current Approach on Cardiac Arrhythmiasにて巻頭でAtrial and Atrioventircular Junctional Anatomy: Myocardial Orientation and Its Heterogeneityとして発表した。
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今後の研究の推進方策 |
房室結節の二重伝導路の成因については、A-H間隔の違いは解剖学的に説明が可能になったが、不応期の違いについては未解決のままであった。今回、心房中隔の神経節の分布と、交感神経・副交感神経分布の状況について自由壁との間に差異があることが推察され、今後はこの交感神経・副交感神経節の分布比について検討する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に発表予定であった日本循環器学会総会JCS2020に学会参加費18,000円を振り込んみホテル、JR切符も申し込んだが、新型コロナウイルス蔓延の影響で学会が7月30日に開催予定となった。しかし、旅費は返金されたが、学会参加費は返金されていないので、年度内に支払処理がされずに現在に至っている。1年間研究を延長としたので、延期された学会へ参加する。
返金された旅費が残金として31,918円とあるが、既にモバイルプロジェクターを発注し納品済みである。コロナにより請求書の発行が遅延したため、年度内に支払い処理されずに現在に至っている。モバイルプロジェクターは研究継続にあたり研究協力者と研究についての打ち合わせするにあたり使用している。
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