左室球形リモデリングの機序：心筋・僧帽弁複合体の非対称性組織延長の重要性

2019 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17K09538
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 循環器内科学
• 研究機関: 産業医科大学
• 研究代表者: 尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
• 研究分担者: 荻ノ沢 泰司 産業医科大学, 医学部, 助教 (20596720) ; 竹内 正明 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (30236434) ; 宮本 哲 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (30611305) ; 岩瀧 麻衣 産業医科大学, 医学部, 助教 (40771308) ; 西村 陽介 産業医科大学, 医学部, 教授 (50301338) ; 尾上 武志 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (50772703) ; 永田 泰史 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60749993) ; 園田 信成 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90299610)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 心不全 / 僧帽弁 / 心エコー図

研究成果の概要

不十分な僧帽弁複合体(MVC) の縦方向組織延長が、左室基部心筋の縦方向延長を制限し、左室球形化に寄与しうる。拡張型心筋症 30 例・大動脈弁逆流30 例・健常者30 名において、3次元心エコー図を用いて左室球形度、左室心尖部・基部の横・縦心筋組織長、MVC縦組織長を測定。「左室基部縦心筋組織長比/左室心筋全体の組織長比」は左室球形度と関連し、「MVC 縦組織長比/左室心筋全体の縦組織長比」は「左室基部縦心筋組織長比/左室心筋全体の組織長比」と関連した。これらは、仮説「不十分なMVC縦組織延長が左室基部心筋が縦に延長するのを制限し、左室球形化リモデリングに寄与しうる」と合致する。

自由記述の分野

循環器内科

研究成果の学術的意義や社会的意義

心不全（心臓機能異常による息切れ等）では、なぜか楕円形の心臓筋肉が球形に近くなります。球形化は心機能を保つ上で不利とされていますが、「なぜ心臓筋肉が球形化するか？」は不明です。本研究では、「心臓の筋肉全体が伸びる（拡大）する中で心臓筋肉基部を縦につなぐ僧帽弁複合体組織があまり伸びないのでそこの心臓筋肉が縦に伸びれないために心臓全体が球形化する」という仮説を検討し、この仮説を裏付けるデータを出しました。「僧帽弁複合体組織があまり伸びない」ために「心臓筋肉が球形化する」という概念もデータも初めてです。