研究課題
心房細動に対してアピキサバンを服用中の症例187例を対象として、アピキサバンのトラフ血中濃度を測定し、アピキサバン投与量別の患者背景、アピキサバン血中濃度および血中濃度用量比(C/D比)に関する検討を行った。【研究1】通常用量群:5mg BID内服例(173例) vs. 減量群:2.5mg BID内服例(14例、うち5例は適切減量例)通常用量群と減量群の患者背景は、年齢(64.7±10.6歳 vs. 74.7±10.3歳、P<0.01)、体重(64.0±12.1 kg vs. 55.0±8.5 kg、P<0.01)、およびクレアチニンクリアランス(76.4±24.7 mL/min vs 54.7±18.5 mL/min、P<0.01)で有意差を認めた。アピキサバンの血中濃度は、通常用量群が減量群よりも有意に高値であった(158.0±71.3 vs. 97.4±36.9ng/mL、P<0.01)。C/D比は15.8±7.1 vs. 19.5±7.4(P=0.066)と減量群で高い傾向が見られた。【研究2】通常用量群:5mg BID内服例(173例) vs. 非適切減量群:2.5mg BID内服例(9例、減量基準に当てはまらないが減量投与されていた症例)患者背景に関して、年齢、体重およびクレアチニンクリアランスに有意差は認めなかった。血中濃度は、158.0±71.3 vs. 92.3±33.0 ng/mL(P<0.01)と研究1の解析よりもその差は大きくなり、C/D比は15.8±7.1 vs. 18.4±6.6(P=0.28)と研究1よりその差は小さかった。【結語】アピキサバン減量投与群では、通常投与群に比し、アピキサバンの血中濃度が低下していた。アピキサバンを非適切に減量した場合、アピキサバンの血中濃度はさらに低下するため、塞栓リスクを上昇させる可能性がある。
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