研究課題/領域番号 |
17K09547
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
片岡 有 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (70463271)
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研究分担者 |
小倉 正恒 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30532486)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PCSK9 / 家族性高コレステロール血症 / 冠動脈疾患 / 診断法 |
研究実績の概要 |
本研究計画は、以下に示す3つの研究を行い成果を得ている。1. PCSK9サブタイプ測定によるFH診断法確立 FH症例200例ならびに非FH200例において、PCSK9サブタイプ濃度を測定した。FH症例では、PCSK9サブタイプ (mature型、furin-cleaved型)が有意に高値であった。多変量解析では、mature型PCSK9がFHの存在に寄与する独立した因子であった。ROC曲線解析により、mature型PCSK9濃度 298.5 ng/ml以上は、FH診断において感度82%、特異度 90% AUC 0.88の精度であった。臨床上、FH診断にmature型PCSK9濃度の測定が有用と考えられた。2.FHにおけるPCSK9サブタイプ値と冠動脈硬化進展・不安定化の関係の解明研究 FH症例50例を登録し、冠動脈イメージング装置を用いて、冠動脈粥腫内脂質成分を評価した。PCSK9サブタイプ (mature型、furin-cleaved型)の濃度も測定し、両者の関連性を検証した。いずれのPCSK9サブタイプにおいても、濃度が高値を示す症例において、冠動脈粥腫内脂質成分は多量に存在していたmature型ならびにfurin-cleaved型PCSK9濃度は、冠動脈粥腫内脂質成分量と有意な正相関を示した (mature型 p=0.04, r=0.54, furin-cleaved型 p=0.009, r=0.78)。研究計画3: PCSK9サブタイプ値上昇による将来の動脈硬化性心血管イベント発生予測能の検証研究 380例においてPCSK9サブタイプ濃度 (mature型、furin-cleaved型)を測定した。観察期間 (約13年間)における、冠動脈ならびの脳血管イベントを収集し、PCSK9サブタイプ濃度との関連を検証した。Furin-cleaved型PCSK9濃度は、冠動脈イベント発症リスクを予測しうる有意な因子で会った。一方、脳血管疾患イベントとの関連性は認めなかった。Mature型PCSK9濃度は、冠動脈ならびの脳血管イベント発生との関連性も確認しえなかった。本研究結果からは、PCSK9サブタイプ濃度測定が冠動脈疾患発症予測に置いて有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1-3において、多くの症例登録を行い、解析も進めることができている。 今後、PCSK9サブタイプ測定を継続し、学会発表・論文報告も準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、本研究を継続し、PCSK9を指標としたFH症例の診断・イベント予測アプローチの可能性を検証継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2・3において、PCSK9サブタイプ測定を45例程度予定しており、、 その測定費用に使用する予定である。
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