研究課題/領域番号 |
17K09548
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中尾 一泰 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (40730619)
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研究分担者 |
安田 聡 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (00431578)
西村 邦宏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 室長 (70397834)
野口 暉夫 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (70505099)
中村 文明 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他, 室長 (80462282)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 急性心筋梗塞 / 医療の質指標 |
研究実績の概要 |
平成29年度(初年度) 我が国の循環器病診療において、「医療の質指標 (QI: quality indicator)」を用いた科学的な医療の質評価の試みは限定的で、全国レベルの実態も把握されていない。本年度は、急性心筋梗塞診療に関して、以下の検討を進めた。 (1)急性心筋梗塞の入院後早期のアスピリン、β遮断薬内服の病院毎(710病院) の処方率の検討を行い、アスピリンについては、入院後48時間以内に92%(中央値) (四分位範囲:87%-96%)で処方されているのに対し、β遮断薬の処方率は23% [11%-38%]にとどまり、病院間のばらつきが大きいことを明らかにした。 (2)急性心筋梗塞の退院時のガイドライン推奨薬剤の病院毎の処方率について、検討をおこなった。アスピリン、ACE-I/ARB、β遮断薬およびスタチンの退院時処方率は以下であった(アスピリン:80[75-85], ACE-I/ARB:60[47-70], 51[36-63], スタチン, 68[58-76])。β遮断薬、ACE/ARBは、処方のばらつきが大きいことが示唆された。 (3)上記項目を院内処方率の低いほうから4分位に分け、院内死亡率との関係の検討を行った。いずれの薬剤も処方率が上がるほどでは、死亡率が下がることを明らかにした。 (4)また、統合指標として、上記4薬剤6項目の処方率をスコア化し死亡率との関係を検討したところ、負の相関を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性心筋梗塞診療の我が国の実態の把握のため、医療の質にかかわる以下について明らかにした。現在、これらの成果を英文誌に投稿中であり、おおむね順調に進展している。 (1)急性心筋梗塞の入院後早期のアスピリン、β遮断薬内服の病院毎(710病院) の処方率 (2)急性心筋梗塞の退院時のガイドライン推奨薬剤の病院毎の処方率 (3)上記指標と死亡率の関係 (4)処方についての統合指標(薬剤処方スコア)死亡率との関係
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今後の研究の推進方策 |
現在、投稿中の昨年度の成果につき、英文誌への受諾をめざすとともに、急性心筋梗塞診療の我が国の実態の把握のため、医療の質にかかわる以下について検討を行なっていく。 (1)急性心筋梗塞診療における経皮的冠動脈形成術の関係について (2)急性心筋梗塞診療における心臓リハビリテーションの関係について
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース構築や使用にともなう必要経費が、2019年度の支払いとなったため、そのための研究費を翌年度に繰り越した。
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