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2017 年度 実施状況報告書

脂肪間葉系幹細胞シート移植による動脈硬化治療開発のための基礎検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K09561
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

本間 順  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50507366)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード脂肪間葉系幹細胞 / 血管狭窄抑制 / 動脈硬化
研究実績の概要

間葉系幹細胞は動脈硬化の基礎病態である炎症・内膜障害を抑制する因子を分泌している。本研究では、脂肪間葉系幹細胞シートの動脈硬化に対する抗炎症・血管内皮細胞保護・血管平滑筋増殖抑制作用と結果として得られる動脈硬化進行抑制・血管狭窄抑制・血管正常化効果を培養細胞・小動物・大動物動脈の実験で明らかにすることを目的としている。
平成29年度は、脂肪間葉系幹細胞シートは血管外膜側へ移植することにより血管狭窄抑制効果を発揮するということを確認するとともに、他の細胞移植法(細胞懸濁液移植法)とも比較した。
具体的には、動物実験で、健常ラットの動脈血管障害モデルに対して、脂肪間葉系幹細胞シート・細胞懸濁液を血管障害血管外膜側から移植し、組織切片で新生内膜の肥厚の程度を解析した。結果は、細胞懸濁液では、狭窄抑制効果を認めなかったのに対して、細胞シートでは、新生内膜増生が抑えられ、血管狭窄抑制効果を示した。また、血管障害後の血管内皮細胞回復率を蛍光組織染色法を用いて評価したところ、細胞シート群で血管内皮細胞の回復が早く、脂肪間葉系幹細胞シートは、障害後の血管内皮細胞回復を促進することにより、狭窄抑制効果を発揮することが示された。さらに、細胞培養実験で、脂肪間葉系幹細胞と一緒に培養した血管内皮細胞が、細胞の移動性が向上することを確認した。この結果は、動物実験で示した脂肪間葉系幹細胞の血管狭窄抑制効果機序の一つを裏付けていると考えている。
平成29年度の研究結果で得られた上記の結果:細胞シート法では血管狭窄抑制効果を発揮するのに対して、細胞懸濁液では狭窄抑制効果を発揮しない;は、本研究を細胞シート法を使って進めていくうえで貴重な知見になるとともに、細胞シートを使うという研究の方向性が間違っていないことを示す重要な結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

in vitroでは脂肪間葉系幹細胞が血管内皮細胞に対して遊走活性を向上させることは確認したものの、因子の特定には至っていない。
in vivoでは、健常ラット血管障害モデルに対する脂肪間葉系幹細胞シート移植がもつ血管狭窄抑制効果の追加実験を行う必要があり動脈硬化モデルへの移植まで至らなかった。

今後の研究の推進方策

in vitroにおける血管構成成分の狭窄抑制効果因子の特定に関しては、平成29年度の研究結果で、上述のとおり血管内皮細胞への効果を認めることはできたが、血管平滑筋細胞ではその効果を認めることができなかった。そのため、今後は血管内皮細胞への効果因子に絞って因子を特定していくことにしている。
また、動脈硬化モデルに対する移植に関しては、平成30年度から開始し実験の試行数を増やしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度では、動脈硬化ラットモデルを用いた実験を行うことができず、物品費で未使用額がでている。
平成30年度は、平成29年度の未使用額をあわせて、動脈硬化ラットモデルを用いた動物実験の試行数を増やす予定である。動脈硬化ラットモデルは1匹2万円前後であり、30匹で合計60万円使用予定である。また、平成30年度は大動物実験を開始する予定であり、1匹10万円で5匹で50万円を計上している。その他物品費として培地・試薬などを購入する予定である。
平成30年度は本研究の成果をもとに海外学会の発表を予定しており、旅費を25万円で計上している

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 血管外膜側アプローチによる間葉系幹細胞の移植法による血管狭窄抑制効果の比較2018

    • 著者名/発表者名
      本間順、関根秀一、松浦勝久、小林英司、清水達也
    • 学会等名
      第17回再生医療学会

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公開日: 2018-12-17  

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