研究課題/領域番号 |
17K09562
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高木 元 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00301565)
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研究分担者 |
宮本 正章 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50229895)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高気圧酸素療法 / 血管再生治療 / 包括的高度慢性下肢虚血 |
研究実績の概要 |
本年度は初頭よりCOVID-19パンデミックの影響を受け、特に研究対象患者の紹介元となる関東近県の複数回にわたる緊急事態宣言を受けた結果、医療連携先の医療機関よりの紹介受診システムが長期間ほぼ停止している状況を経験した。このため重症下肢虚血患者登録の診療が思うように進まなかったため、現状までの集積したデータの解析を中心に行った。 高気圧酸素治療に関しては、学会発表を通じて、本研究の解析結果の一部を現在まで集積したデータ状況をもとに公表している。また、日本高気圧環境・潜水医学会理事兼教育委員長として、本研究のテーマである末梢動脈疾患に対する高気圧酸素治療のエビデンスレポートを発表し論文を作成した(受理、印刷中)。 一方末梢動脈疾患に関しては、重症下肢虚血患者に対して新しく保険認可された遺伝子治療を導入し、対象症例へ施行した。またこれまでの治療成績から判明した血管再生治療効果に関する機序と臨床的利点について、日本脈管学会、日本再生医療学会や日本フットケア・足病医学会など本研究テーマに即した各学会の会長特別企画やシンポジウムを通して発表を行った。 治療実績:医療連携を通じて紹介いただく患者数が現状では極端に減少したままであり、COVID-19終息を見据えた総説の執筆やWeb媒体を駆使した講演会や医療関係者向け情報サイトでの案内を作成し研究推進に努めた。また学会発表を通じて、高気圧酸素治療と再生医療の普及と研究内容の紹介を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 2020年初頭からのCOVID-19の影響は特に研究を行う東京都を中心に広く蔓延しており、今だもって終息の目途が立っていない。これを受け日本循環器学会の延期や、他の学会も中止やWeb開催など変更が相次いだ。この影響を受け、学会発表などの成果公表に制限が生じ、また治療患者の受診控えや研究外の感染症治療対応を行うなど、1年を通して影響を受けており、通常どおりの研究を継続することが困難な状況である。研究最終年度で行うべき患者登録・治療と解析作業が著しく遅延している。一方院内コンサルテーションシステムは創傷に関わる血管外科、形成外科、皮膚科と常に連携しており、引き続き患者登録が行える環境を整備している。感染症リスクを極力減じた環境で治療を行う体制を整えなど環境整備も進め、現在研究登録を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象患者は標準治療では反応しないもしくは標準治療の適応外と診断された難治性患者であるため、医療連携による紹介が必須である。このため学会やWeb講習会、研究会を通じた対外的な患者募集を継続して行う。またこの病態に関わる診療科も多岐にわたるため、高気圧酸素、循環器、心臓病、糖尿病、脈管、放射線、栄養代謝、フットケア、創傷治癒、再生医療などに関わる各学会に所属し情報提供や意見交換を予定している。また地元医師会を含めた医療連携の場を設け、フットケア講習会や勉強会等も予定している。 再生治療は京都府立医科大学循環器内科で行われている先進医療Bの共同研究施設と、横浜市立大学の共同研究施設として、先進医療B取得手続き中である。新たに保険承認された末梢動脈疾患に対する遺伝子再生医療も治療導入した。対象患者を研究対象として引き続き組み入れ治療を行う。 高気圧酸素療法に関しては学会理事・教育委員長としてWeb会議を通じ最新の情報収集と教育を行い、医療連携を更に推進する。 ホームページも同様更新作業を行い、全国への治療案内を発信し、認知度の向上と更なる医療協力体制の構築を行う。そして今まで蓄積された解析可能なレジストリデータより予後解析を行い、研究結果を論文化し発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより臨床研究の推進が困難であった。この理由として、まず学会が中止もしくはオンライン開催となり、学会発表にかかる参加費、旅費、交通費が極端に減少したことによる。また当該研究の登録には患者診療が必要であるが、診療控えもあり登録される患者数も極端に減少した。このため、研究期間を延長させて頂き、引き続き研究を継続して参る所存です。研究計画として、かかる消耗品を主体とした支出に加え、解析にかかる費用や論文作成にかかる費用に充填する予定である。
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