研究課題/領域番号 |
17K09565
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
眞崎 暢之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 講師 (00364795)
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研究分担者 |
足立 健 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (50231931)
高瀬 凡平 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 集中治療部, 准教授 (50518214)
東谷 卓美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (60781515)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血管内皮細胞 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
まず、本研究の基礎となる心臓カテーテル検査器具からの血管内皮細胞の回収、および蛍光顕微鏡による定量化などの実験方法の確立を行う必要があった。そのため、2017年に約80人の心臓カテーテル検査患者から血管を採取し、100nM,30分のインスリン負荷を行い、血管内皮NO産生酵素のリン酸化修飾(p-eNOS Ser1177)の増加率を測定した。この増加率が低下することを、血管内皮インスリン抵抗性と定義した。結果、糖尿病との直接のかかわりは認めることが出来なかった。しかし、血清中心筋利尿ペプチド(BNP)、心臓超音波検査での心臓拡張機能障害(E/E')、血管硬化(CAVI)と負の相関を認め、心不全や血管硬化によって血管内皮インスリン抵抗性は増加することが分かった。また、糖尿病患者においても、在宅インスリン自己注射患者、冠動脈疾患を有する患者では血管内皮インスリン抵抗性を認めた。このように、回収手技、定量法については確立することが出来たと考えられる。これらの研究結果は、論文としてJournal of American Heart Associationに掲載された。 次に、血管内皮グルコサミン修飾(O-GlcNAc)と血管内皮インスリン抵抗性の関連である。以前すでに静脈血管内皮細胞において実験を行っており、今回はカテーテル検査器具から採取した動脈血管内皮細胞で結果を再現中である。同時に市販の培養細胞(HUVEC)で薬剤によるグルコサミン修飾の増減を行い、血管内皮インスリン抵抗性の変化をみた。グルコサミン修飾増加によってeNOSリン酸化の低下があったが、逆にグルコサミン修飾低下させることでリン酸化が増強されるかどうかについては適当な薬剤がなく一定の見解を得ていない。この点はOGT,OGAなどの産生/分解酵素にたいしてsiRNA,shRNAを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験方法の確立については論文を掲載することができた。しかし、グルコサミン修飾については、不明な点が多く逆に新たな知見もあった。仮説どおりの役割を担っているのかどうかはまだわからない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今回の我々の研究では、蛍光顕微鏡での定量が重要であり、標的タンパク質や修飾に対する抗体の質が大きく結果に関わる。従って、蛍光顕微鏡で得られた結果が、他のモダリティーによって再現できるかどうかについて、今後研究を進める必要がある。しかし、ウエスタンブロット法などの方法は多くの採取された細胞が必要であり、研究法の開発には時間がかかる。mRNAレベルでのタンパク発現については少量でも可能なことから、現在進めている段階である。 また、同時並行で培養細胞(HUVEC)で同様の確認をする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文が採択され、出版社に支払う費用が必要となったため。
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