研究課題/領域番号 |
17K09578
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塚本 蔵 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80589151)
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研究分担者 |
西田 優也 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10793440)
新谷 泰範 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20712243)
朝野 仁裕 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60527670)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミオシン調節軽鎖キナーゼ / 心不全 / サルコメア |
研究実績の概要 |
培養心筋細胞に対して周期的に圧力負荷を与えるシステムを開発した。培養ラット心筋細胞に対して、100kPaと300kPaで周期的に圧負荷を8時間加えて、サルコメアの再構築が促進されることを確認した。さらにcMLCKをsiRNAでノックダウンした心筋細胞ではサルコメアの再構築が抑制され、アデノウイルスでcMLCKを再発現することでサルコメアの再構築がrescueされた。以上より、力学的負荷におけるサルコメアの再構築にcMLCKが重要な役割を担っていることが明らかとなった。 cMLCKの結晶構造解析のため、Sf21細胞を用いてcMLCKを、また大腸菌を用いて結合蛋白質であるカルモジュリンの大量精製を行った。cMLCKについては全長では単分散しないため、N末端を削除しながら、活性を保持しつつ単分散を得られる条件を同定できた。カルモジュリンと結合した複合体での単分散条件も同定でき、結晶化条件検討まで進むことが出来た。約1000条件での結晶化条件検討を試みたが、結晶化を得ることが出来なかった。よって、現在は精製した蛋白質からタグを除去してから単分散および結晶化条件を検討することとしている。 cMLCK遺伝子を組み込んだAAV9ベクターの作製にも取り組み、培養細胞およびマウスに投与する程度のAAVウイルスの作製が完了した。 重症心不全患者の心筋サンプルからRNAを抽出して、心臓のミオシン調節軽鎖のリン酸化に影響する遺伝子(MYLK3, MYPT1, MYPT2)の発現を検討した結果、MYPT1およびMYPT2の発現が増加していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養心筋細胞に対する圧力負荷システムを構築できた。 cMLCKとカルモジュリンの共結晶に向けた精製は順調に進んでいる。 AAV9ベクターの必要量の精製を終了した。 ヒト重症心不全患者の心筋でのミオシン調節軽鎖リン酸化に関与する遺伝子の発現を検討できた。 以上より、計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
cMLCKとカルモジュリンの共結晶構造解析を進めていく。 心不全モデル(マウス、ラット)を作製してAAV9によるcMLCKによる治療効果を検討する。 ヒト不全心でのミオシン調節軽鎖リン酸化の程度を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
X線結晶構造解析用の結晶化が上手く行かず、次年度も改めて結晶化条件検討用の蛋白質を精製する必要があるため、次年度使用額が生じた。
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