1) HCN4-GFP陽性細胞の経時的分取と分子生物学的特性の評価: HCN4-GFP陽性細胞を選別採取し培養すると増殖性を示し、Tbx5を強く発現するFHF様の細胞群をHCN4-GFP陽性細胞として純化で、SHFのマーカーであるIsl1は発現していない。HCN4GFP陽性細胞は誘導後14日までKi-67陽性の増殖特性を有し、LCVを用いたsingle cellレベルで複数回増殖を示したが、28日目では増殖性細胞数が低下していた。以上から、分化誘導初期のHCN4-GFP陽性細胞にはFHF由来の心臓前駆細胞であり増殖能と分化能を示すことが判明した。本細胞は誘導後14日目に採取した細胞が心房筋、心室筋、刺激伝導系、血管平滑筋など種々の細胞へと分化できる能力を持つことが示唆された。 2) HCN4とIsl1を可視化できるヒトiPS細胞株(HCN4-GFP/Islt1-mcherry hiPS細胞)の樹:ヒトiPS細胞のIsl1遺伝子座にゲノム編集を用いてmcherry遺伝子の導入とBACベクター上でIsl1遺伝子座にmcherryを相同遺伝子組み換え導入した。分化誘導後7日目よりIslt1-mcherry蛍光を発現し、この経時的変化はIsl1の発現と一致した。 3)HCN4-GFP/Mlc2v-mcherry細胞の分取と電気生理学ならびに分子生物学的特性の評価:分化誘導後にHCN4-GFP単独陽性並びにHCN4-GFP/Mlc2v-mcherry二重陽性細胞を採取し、その電気生理学的特性の解析を行った。HCN4-GFP単独陽性は洞結節型自動能が優性であるが、二重陽性細胞では少なかった。HCN4-GFP単独陽性並びにHCN4-GFP/Mlc2v-mcherry二重陽性細胞の自動能をex vivoで測定できた。
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