研究課題
野生型マウスの左冠動脈を永久結紮し心筋梗塞を作成し、4週後までに生存率が約60%の心不全モデルを確立した。これらのマウスにおける非梗塞部心筋のミトコンドリア取込蛋白の発現をウェスタンブロット法にて偽手術マウスと比較した。translocase of the outer membrane(Tom)複合体の構成蛋白であるTom70、Tom40、Tom22、Tom20のwhole lysateでの発現量には差がなかった。一方、非梗塞部心筋のミトコンドリア分画においてTom22、Tom20、Tom6は増加していた。Tom複合体の形成をBlue-Native Page法にて評価したところ、非梗塞部心筋におけるTom複合体形成は偽手術群と心筋梗塞群で有意差はなかった。次にミトコンドリアマトリックス蛋白の評価を行った。Whole lysateにおいてTFAMは低下していたが、Aconitase2、ATPB、OPA1、HSP60、COXは変化しなかった。ミトコンドリア分画においてもTFAMは低下していたが、Aconitase2、ATPB、OPA1、HSP60、COXは変化しなかった。梗塞後リモデリングを生じた非梗塞部心筋においてTom構成蛋白の発現とTFAM蛋白量に変化が認められた。
2: おおむね順調に進展している
心筋リモデリングによる心ル全モデルを確立し、不全心筋におけるTom複合体蛋白の発現のみならず複合体形成について評価も行い研究は順調に進展している。
Tom複合体の構成因子には変化があったがTom複合体形成に変化がなかったため、translocase of the inner membrane(Tim)複合体構成因子の評価を行う。また、不全心においてミトコンドリアマトリックスの多くの蛋白の量には変化が見られなかったが、TFAMのみ低下していた。ミトコンドリアマトリックス蛋白の制御においてTom/Tim複合体がどのように関与するかを培養心筋細胞におけるノックダウンシステムを用いて検討する。さらに、Tom/Tim複合体の変化に伴うミトコンドリア呼吸能を評価する。
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J Diabetes Investig
巻: 4 ページ: 535-541
10.1111/jdi.12606