研究課題
体内時計の分子機序が明らかになり、その構成因子である時計遺伝子を変異させた動物の解析により、代謝疾患、免疫疾患、循環器疾患などの発症、進展に体内時計の乱れが重要な働きを担っていることが明らかになっている。本研究は、我々が血管内皮細胞から同定した時計遺伝子であるClif/Bmal2のノックアウトマウスを作成し、その循環器疾患における役割を明らかにすることで、循環器疾患の発症、増悪する機序を、サーカディアンリズムの撹乱、体内時計の変調の観点で解析することを目的とする。まずCRISPR-Cas9システムを用いてClif/Bmal2遺伝子のノックアウトマウスの作成を行った。その結果、3系統のマウスを得ることができた。この中の2系統のマウスを使用して実験を行った。Clif/Bmal2ノックアウトマウスは正常に生まれ、成長や各臓器に異常は認められなかった。また輪回し運動による行動測定を行ったが行動のサーカディアンリズムに異常は認められなかった。各臓器での時計遺伝子の発現も野生型と比較してそのサーカディアンリズムに変化は無かった。次に代謝系への影響を検討するためHigh fat dietを給餌したが、体重の増加は野生型と変化はなく、また血液中の糖、脂質プロファイルにも変化は認められなかった。さらに糖負荷試験でも野生型との間に差はなかった。循環器系への影響を検討するために、低酸素負荷によるマウス肺高血圧モデルを作成した。その結果野生型と同程度の肺高血圧を呈してClif/Bmal2ノックアウトによる影響は認められなかった。現在までのところClif/Bmal2ノックアウトマウスの表現型に野生型との差は認めていないが、Bmal1により代償されていることが考えられる。
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