研究課題/領域番号 |
17K09599
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
今野 哲 北海道大学, 医学研究院, 教授 (20399835)
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研究分担者 |
渡部 拓 北海道大学, 医学研究院, 助教 (90399949)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 肥満 |
研究実績の概要 |
吸入ステロイドの普及により気管支喘息のコントロールは良好となったが、罹患患者の増加及び、高用量の吸入ステロイドや経口ステロイドの使用下でもそのコ ントロールが不良である、いわゆる「難治性喘息」の存在は、現在の喘息診療の最重要課題である。気管支喘息の発症、難治化において、肥満は最も注目されて いる因子の一つである。本研究は、当該施設で展開されている「北海道難治性喘息コホート研究 (UMIN ID 000003254)」に登録された約200人の気管支喘息患者 において、全対象者に対し腹部CTを撮影し、臍部における皮下/内臓脂肪面積の定量をおこない、また、肥満モデルを用いた動物研究にて、肥満が喘息病態に与える影響を、細胞分子学的に検討することを目的としている。平成30年度内においては、内臓、皮下脂肪の定量化が終了し、気管支喘息の病型との関連を検討した結果、内臓脂肪量と喘息症状スコアとの関連を見出し、報告した(J Allergy Clin Immunol Pract)。更に、内臓肥満は、GERD、うつ、気流閉塞それぞれを開始、症状スコアに影響することを、mediation解析で示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 CTを用いた気管支喘息患者における内臓/皮下脂肪面積の測定およびその定量化 については、平成30年度内に英語論文化をおこなった。
2 血中/喀痰中バイオマーカーから見た、肥満と気管支喘息の分子生物学的検討 肥満が肺/気道に及ぼす各種分子について、特に実臨床に応用すべく、血中や喀痰中に豊富に存在する蛋白に着目し、バイオマーかーの探索を目指す。昨年度までに、血清CC16、CCL18、periostin濃度とBMIとの関連を見出し、特にperiostinとの関連については英文報告をおこなった(Kimura H, et al. Allergol Int 2017。今後は、喀痰中のCC16、CCL18の測定もおこない、気管支喘息病型との関連について検討をおこなう
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今後の研究の推進方策 |
今後は、肥満による肺/気道の遺伝子発現への直接の関与を検討する目的で、肥満マウス(高脂肪食HFD投与)と正常マウスにおいて、肺/内臓脂肪中において、Gene Chip Arrayを用い、網羅的遺伝子解析による遺伝子スクリーニングをおこなう。また、肥満マウスを用いて卵白アルブミン(OVA)による喘息モデルを作成し、正常マウ スとの比較もおこなう。その後、網羅的遺伝子解析により抽出された遺伝子群に着目し、肥満が肺/気道の遺伝子発現に及ぼす機序解明を目指す。気道上皮細胞においては、BEAS-2B、A549 などのcell line、正常ヒト気道上皮細胞(NHBE)を用い、肥満関連adipocytokines (leptin, adiponectinなどの刺激による遺伝子発現の変化を検討す る。主に免疫担当細胞に発現する分子においては、THP-1、U937などのcell lineの他、ダニ特異的IgE抗体陽性患から採取した末梢血単核球(PBMC)にお いて、ダニ粗抗原の刺激による、遺伝子、蛋白発現の検討考慮に入れる。OVAを用いた喘息モデルにおいては、マウス脾臓細胞を用い、ヒトPBMC同様の検討も可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肥満による肺/気道の遺伝子発現への直接の関与を検討する目的で、肥満マウス(高脂肪食HFD投与)と正常マウスにおいて、肺/内臓脂肪中において、Gene Chip Arrayを用い、網羅的遺伝子解析による遺伝子スクリーニングをおこなう。また、肥満マウスを用いて卵白アルブミン(OVA)による喘息モデルを作成し、正常マウ スとの比較もおこなう。両マウス間で遺伝子発現が異なる遺伝子群を抽出する。この目的の為に費用を要する。
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