吸入ステロイドの普及により気管支喘息のコントロールは良好となったが、罹患患者の増加及び、高用量の吸入ステロイドや経口ステロイドの使用下でもそのコ ントロールが不良である、いわゆる「難治性喘息」の存在は、現在の喘息診療の最重要課題である。気管支喘息の発症、難治化において、肥満は最も注目されて いる因子の一つである。本研究は、当該施設で展開されている「北海道難治性喘息コホート研究 (UMIN ID 000003254)」に登録された約200人の気管支喘息患者 において、肥満が喘息病態に与 える影響を、細胞分子学的に検討することを目的としている。
令和元年度内においては、肥満喘息関与する可能性のある分子としてClub cell secretory protein 16 (CC16)に着目し、血清レベルを用いた検討が進んだ。今後、気道組織における免疫染色なども追加し、英語論文化の予定である。更には、肥満による肺/気道の遺伝子発現への直接の関与を検討する目的で、肥満マウス(高脂肪食HFD投与)と正常マウスにおいて、肺/内臓脂肪中において、 Gene Chip Arrayを用い、網羅的遺伝子解析による遺伝子スクリーニングを施行した。その中で、肥満により肺内に発現が亢進・現象する遺伝子群を抽出した。その一部は、RT-PCR法にてvalidtionも終了している。今後、それらの遺伝子に着目し、人検体での検討を進める予定である。
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