研究課題/領域番号 |
17K09601
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
田坂 定智 弘前大学, 医学研究科, 教授 (70276244)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 呼吸音 / 自動解析システム / 遠隔医療 / 在宅医療 |
研究実績の概要 |
平成29年度は呼吸音データの収集と解析を進めた。研究協力者とともに間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患患者から呼吸音データを収集した。また近隣の開業医に依頼して呼吸音の収集を行った。呼吸音の録音・解析に関するマニュアルを作成し、医師および医療従事者向けの説明会を行った。録音した呼吸音データの質や再現性については、概ね良好なものであった。当初、教育用聴診器(teaching stethoscopes)を改造して呼吸音の収集を行う予定であったが、聴診器のチェストピースの性能が不十分と判断されたため、リットマン社のカーディオロジーの部品を用い、携帯性に優れたた独自の聴診装置を作成した。診察した医師による診察時の評価と録音した呼吸音を診察医が反復して聴き直した際の評価については、ほぼ100%一致する結果であった。また録音した呼吸音を呼吸器専門医が聴いた際の評価と非専門医による評価については、研究開始当初は80%程度の一致率であったが、検討会を重ねる毎に一致率が上昇し、聴診に関して医療従事者に対する教育の余地があることが示唆された。医療機関の間での呼吸音データの送信については問題なく行えることが確認され、電子ファイル化された呼吸音データを用いた診断も可能と考えられた。また自動解析ソフトウェアの改良も進めており、呼吸専門医による評価との一致率も徐々に改善している。呼吸音を録音する際のノイズが診断不一致の最大の要因であることが明らかになったため、ノイズキャンセリング技術の向上を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
専門医と非専門医の評価のずれは予想を超えるものであったが、検討会など教育の機会を数回設けることで解消可能と考えている。また遠隔医療の展開については、県内の医療機関との調整が済み、ほぼ予定どおりに実行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
非専門医や医師以外の医療従事者を交えた聴診所見の検討会を開催するとともに簡単な教育ツールを作成する。また遠隔地の病院との呼吸音データの共有については、説明会や検討会を当初の予定より多く設定することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠隔地の医療機関との検討会を当初の予定より多く開催する必要があると考え、その経費を想定して次年度使用額とした。
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