研究課題
個々の一塩基多型(SNP)から喘息発症を予測することは困難である。そこで本研究では、個人について、十~数十の喘息関連SNPsのリスクアレル数を合計して喘息発症遺伝的リスクスコア(genetic risk score;GRS)とし、このGRSにより喘息発症を予測することが可能かを検討した。まず、コホート1(健常者958名、喘息242名)とコホート2(健常者565名、喘息541名)について、ゲノムワイドのジェノタイピングを行った。ゲノムアレイはそれぞれ、イルミナ社のHumanHap 550v3とAsian Screening Array(ASA)を用いた。次に、既報の喘息ゲノムワイド関連解析(GWAS)で有意水準を満たす123遺伝子を抽出し、この遺伝子の発現に最も関連するexpression SNP(eSNP)を選択した。さらにこのeSNPsのうち、コホート1の喘息GWASでP<0.05を満たし、かつコホート2のASAにも含まれる15eSNPsを抽出した。コホート1における15eSNPsのGRSは、健常者群14.3±3.1、喘息群16.1±3.4であり、2群間には強い有意差が確認された(P=9.54E-15)。そこで、コホート2において、この15eSNPsのGRSにより喘息発症が予測可能かを検討した。GRSは健常者群14.5±3.3、喘息群15.0±3.3となり、2群間に有意差が認められた(P=0.023)。一方、コホート2において、このGRSによる喘息発症の予測能を評価するため、ROC解析を行ったところ、ROC曲線下面積(AUC)は0.539であり、15個のeSNPsでは喘息発症の予測能は高くないことが示された。今後は、imputationにより両アレイに含まれるSNPsをそろえ、共通するeSNPsの数を増やしてGRSを計算し、喘息発症の予測能を検討する予定である。
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