研究実績の概要 |
我々は、cMet蛋白発現、リン酸化をWestern blot法で検討したところ、5細胞株(PC-9/Met, EBC-1, H1993, H441, H2228)でcMet高発現、Metのリン酸化亢進を認めた。その他の5種類ではcMet発現は弱くリン酸化も低かった。cMet蛋白量とリン酸化Met(pMet)量は強い相関を示した。さらにcMetのLigandであるcMetを添加して実験を行った。PC-9, PC-9/Met, A549, EBC-1細胞株にHGFを添加した実験では、Metリン酸化亢進が認められた。またMet阻害剤(SU11274)でHGF刺激によるMetリン酸化がキャンセルされた。HGF刺激の元で下流シグナルの変化を発現解析したところ、cMetと関連しHGF刺激で増加するパターンは29遺伝子,減少するパターンは138遺伝子が挙げられた。さらに詳細な解析を追加する予定である。 また現在までに手術症例の検体、及び進行肺癌症例の検体をそれぞれ、約150検体、約80検体収集した。同時に臨床情報を集積しているが、現時点では患者背景のみである。手術検体では検体の質が良好であるが、進行肺癌の症例は気管支鏡下肺生検、CTガイド針生検の検体であり、微小なものが多い。このため解析に不適切なものも含まれている。HE染色の所見をもとに適切な検体を選別する作業を行う。さらに患者背景からも重複癌など不適格症例の選別を行っている。さらに手術検体でも、転移性腫瘍との鑑別が必要であるものなど、臨床情報との照らし合わせを行っている。
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