研究課題/領域番号 |
17K09611
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田口 修 三重大学, 保健管理センター, 教授 (90197244)
|
研究分担者 |
GABAZZA CORINA 三重大学, 医学系研究科, 特任助教(研究担当) (10750656)
戸田 雅昭 三重大学, 医学系研究科, 講師 (10202201)
小林 哲 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (20437114)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 肺線維症 / ムチン / ブレオマイシン / rs35705950単塩基多型 / 肺傷害 / 成長因子 / 遺伝子改変マウス / 遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
Mucin 5B遺伝子のプロモーターの単塩基多型であるrs35705950は特発性肺線維症との関連性が複数の研究で示されている。本研究の目的はヒトrs35705950の単塩基多型の過剰発現トランジェニックマウスを用いて肺線維症マウスモデルを作製し、in vivo 実験によってMucin 5B遺伝子が間質性肺炎・肺線維症の病態形成に関与するかを検討する。平成29年度では本プロジェクトの研究を行い、以下の成果を得てきた: 1)肺線維症モデルの作製と解析。マウスの背部の皮下に埋め込んだ浸透圧ポンプを用いてヒトMUC5Bのrs35705950単塩基多型のトランジェニックマウスにブレオマイシンを一週間連続皮下投与し、肺線維症モデルを作製した。コントロールとしてlittermateのC57BL/6野生型マウスを用いて同様の方法で肺線維症モデルを作製した。その結果、ブレオマイシンを投与した野生型マウスに比べ、MUC5Bのトランジェニックマウスでは気管支肺胞洗浄液の総細胞数及び肺線維症の程度は有意に低下した。コントロール群(ブレオマイシンの代わりに生理食塩を投与した群)では有意な変化が認められなかった。 2)ヒトMUC5Bのrs35705950単塩基多型とヒトTGF-beta1のダブルトランジェニックマウスを作製した。ダブルトランジェニックマウスの作製はヒトMUC5B トランジェニックマウスとヒトTGF-beta1トランジェニックマウスを交配させて行った。ヒトMUC5BおよびヒトTGF-beta1ともにヘテロの個体を得たことをPCR法で確認した。ダブルトランジェニックマウスでの肺線維症の発症程度は現在観察中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成29年度では既にできた組み換え改変マウスを使用したため研究の目標が速やかに達成できている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度では以下の実検を行う予定である:
1)前年度に得たブレオマイシンによる肺線維症の結果の再現性を検討する。 2)ダブルトランジェニックマウスにおける肺線維症の発症の評価を行う。前年度にヒトMUC5B トランジェニックマウスと開発済の肺特異的ヒトTGF-beta1トランジェニックマウスの交配により得たダブルトランジェニックマウスにおける肺線維症の発症の程度をコントロールマウスと比較して検討する予定である。肺のmicroCT検査にて肺線維症の発症を確認する。血液、気管支肺胞洗浄液、肺組織を採取する。血液、気管支肺胞洗浄液、肺homogenate中の成長因子量を測定する。また、肺組織のhydroxyprolineの含量、コラーゲンの濃度、組織学的変化で肺線維症の程度を比較検討する。 3)肺線維芽細胞の成長因子発現に対するMUC5Bの効果を検討する。線維芽細胞はMUC5B蛋白の存在下で培養して、24時間後に成長因子の発現量PCRで確認する。
|