研究実績の概要 |
協力施設14施設より前向きに特発性肺線維症90症例をエントリーし、経過フォロー中である。2年間の観察期間を終了した症例について、Baseline, 6ヵ月後, 12ヵ月後, 24ヵ月後の末梢血テロメア長を測定した。対象症例は、抗線維化薬を内服中の13例(ピルフェニドン7例、ニンテダニブ6例)と、無投薬症例3例。テロメア長はquantitative PCRで測定し、reference sampleとしてhuman embryonic kidney (HEK) 293T cellから抽出されたgenomic DNAを使用し、standard curveを作成した。Standard curveとの比較からPt. sampleのテロメア (TTAGGG) リピートのコピー数とSingle-copy gene (36B4) のコピー数を算出し、白血球テロメア長をT/S ratioとして表記した。結果は抗線維化薬内服群で治療開始12カ月以降テロメア長が伸長する傾向が確認された(T/S比 baseline 1.530, 6m 1.569, 12m 1.595(p=0.02), 24m 1.577(p=0.02))。無投薬群は12か月まで3例、24カ月1例のみの解析であるが、T/S比 baseline 1.629, 6m 1.632, 12m 1.667, 24m 1.379と有意な変化を認めていない。今後症例の集積と解析を進めていく予定である。同時に健常者のテロメア長解析を進めており、500例の健常者のデータをもとに年齢別のテロメア長の基準値を算出予定である。 遺伝子解析は特発性肺線維症56例でwhole genome sequenceを完了しており、今後100例の解読と解析を予定している。
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