研究実績の概要 |
2018年度は、主体であったヒト喀痰サンプルでのAQP3の測定系を確立したうえで、臨床試験を実施して、実際に健常人、非重症喘息、重症アトピー型喘息例で採取した誘発喀痰上清中のAQP3濃度を測定し、成功した。加えて、各種サイトカイン・メディエーターについて、網羅的な解析を行った。喀痰中のAQP3濃度については、3群間で有意な差は認めなかったが、AQP3と各種サイトカイン・メディエーター濃度との関係は各群で特徴的なパターンを認めた。全体解析でAQP3と関連の強いサイトカインはIL-7, IL-12, IP-10 (rho=0.54~0.41, p<0.0001)であった。健常人ではIP-10, IL-12, G-CSF, IL-8 (rho=0.67~0.54, p <0.03)、非重症喘息例ではIP-10, IL-7, MIP-1b, IL-9, MCP-1, IL-12 (rho=0.56~0.39, p<0.005)、重症アトピー型喘息例ではIL-12, IL-13, IL-10, IL-7, VEGF, Eotaxin, MCP-1 (rho=0.59~0.37, p<0.03)の各濃度がAQP3濃度と関連した。生理的環境下・非重症喘息例ではAQP3と2型炎症との関係は乏しいが、重症アトピー型喘息例ではIL-13やeotaxinなどとの関係が認められ、2型炎症への関与も示唆される結果を得た。今後、臨床指標との関連も検討していく予定である。
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