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2017 年度 実施状況報告書

肺腺がんの微小乳頭状構造のオルガノイド培養システムの確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K09614
研究機関神戸大学

研究代表者

永野 達也  神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (80624684)

研究分担者 西村 善博  神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (20291453)
立原 素子  神戸大学, 医学研究科, 助教 (40448626)
田村 大介  神戸大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (80646597)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード肺がん / 微小乳頭状構造 / スパイラルアレイ / 三次元培養
研究実績の概要

非小細胞肺がんにおける微小乳頭状構造(MPC)の存在は予後不良因子として報告されているが、その詳細な発生メカニズムは解明されていない。MPCの細胞株は樹立されておらず、MPCの確立された培養システムがないことが細胞株の樹立への大きな障害となっている。そこで、本研究は、これまで着目されてこなかった細胞-基質間接着に着目して(1)MPCの発生機構を解明するとともに、(2)MPCの3次元培養システムを確立することを主な目的としている。本研究によりがんの浸潤・転移機構に関する新たな知見が得られること、更に、3次元培養システムや樹立された細胞株を利用することにより、がん研究が大きく推進し、新規作用機序に基づく治療法の開発が進んで行くことが期待される。
2014年度に神戸大学医学部附属病院呼吸器外科で手術が行われた肺腺がん79例のホルマリン固定パラフィン包埋手術検体を使用して、スパイラルアレイブロックを作成した。また、並行して同患者群の微小乳頭状構造(MPC)の有無、病理学的浸潤因子、病期、再発の有無、生存期間などの診療情報をデータベースにまとめた。ここで、スパイラルアレイブロックは50~100 マイクロm厚の薄切切片をロールしアレイ状に配置し断面を観察するもので、従来のアレイと比較し広い範囲の組織をカバーすることができ、免疫染色において対象となる染色性を有する部位がより確実に描出されるというメリットがある。このスパイラルアレイブロックを用いて、MPCの有無による染色性の違いを見るための免疫染色(SERPIN2およびPADI2に対する抗体を使用)を開始した。また、非小細胞肺がん細胞株A549およびPC9の三次元培養の系を確立し、day 5から6あたりで安定的にオルガノイドの形成を確認できるようになった。並行して、外科手術検体より患者由来細胞株を樹立するための院内の体制作りを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に予定していた、2つの実験系の立ち上げおよび予備実験が終了しており、おおむね順調に進展しているといえる。
免疫染色に関しては、スパイラルアレイブロックの作成と抗体などの試薬類の購入が終了しているため、現在、網羅的に免疫染色を開始できている。
また、細胞株の樹立に関しては、既存の細胞株を用いて、三次元培養が出来ることを既に確認している。新規の患者由来細胞株の樹立に関しては、院内の既定の倫理審査委員会に承認され、運用マニュアルも作成したため、症例集積をしていくのみの状態となっている。

今後の研究の推進方策

病理学的にMPCを有することが確認された症例と、MPCを有さないことが確認された症例について、組織用 RNA 安定化溶液に入れて凍結してある検体を融解し、tRNAを回収して、cDNA合成を行い、whole human genomeのDNAマイクロアレイ解析(プロテオーム解析)で網羅的にmRNAの発現を調べ、両者の発現の違いを比較検討する。
また、前年度に引き続きMPCの細胞株の樹立に取り組んでいく。MPCの細胞株をオルガノイド培養し、MPCが発生していく様子を経時的に観察する。免疫染色の結果、細胞-基質間接着分子の発現がMPC群で非MPC群に比較して低下している可能性が高いと考えており、実験で確認していく。また、浸潤能や転移能の獲得と関連した遺伝子の発現がMPC群で非MPC群に比較して上昇している可能性を考えており、治療標的となり得るかsiRNAや阻害剤を使用した実験で確認していく。

次年度使用額が生じた理由

患者由来細胞株の樹立を開始していない為、細胞培養にかかる費用を次年度使用額に回している。次年度使用額はDNAマイクアレイによる遺伝子発現の解析、オルガノイド培養の系の確立に用いる。

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公開日: 2018-12-17  

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