研究課題
原因不明の間質性肺炎である特発性間質性肺炎(IIPs)症例における自己抗体の重要性を検討する一環として、IIPsにおける抗ARS抗体陽性症例の臨床的特徴を明らかにした。18例の抗ARS抗体陽性IIPs、284例の抗ARS抗体陰性IIPs、20例の抗ARS抗体陽性皮膚筋炎関連ILDの3群に分類し、臨床的特徴を後方視的に比較した。抗ARS抗体陽性IIPsは、抗ARS抗体陽性皮膚筋炎関連ILDと比較して有意に高齢で男性に多く、膠原病的身体所見が少なく、HRCTの所見にも相違がみられ、KL-6が高値であった。抗ARS抗体陰性IIPsと比較すると、喀痰が少なく、メカニクスハンドを呈することが多く、KL-6が高値で呼吸機能検査ではVCの低下がみられ、気管支肺胞洗浄液のCD4/CD8比の低下がみられた。抗ARS抗体陽性IIPsの肺病変は抗ARS抗体陽性皮膚筋炎関連ILDのそれと類似していることが示唆された。しかしながら、HRCT所見の相違やKL-6が高値であることから、より重症であることが示唆される。今後前方視的により大規模な研究でIIPs症例における抗ARS抗体の真の役割が解明されることが期待される。以上の結果は、日本呼吸器学会総会での発表、Respiratory Medicineに「Clinical characteristics of patients with anti-aminoacyl-tRNA synthetase antibody positive idiopathic interstitial pneumonia」のタイトルで論文発表を行った。一方で、IIPsにおける他の自己抗体に関しても臨床的な検討を続けている。
3: やや遅れている
臨床的検討は順調に進んでいるが、線維化機序の解明に関する検討が遅れている。
他の自己抗体に関する臨床的検討を続けながら、細胞、マウスモデルを用いた検討を実施していく予定である。
当該年度では、細胞やマウスモデルを用いた実験を行うことができなかった。今年度は、検討ができなかった細胞、マウスモデルを用いた自己抗体の検討に必要な抗体、細胞等の購入に充てる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
BMC Pulmonary Medicine
巻: 18 ページ: 44
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