研究課題
<背景>特発性肺線維症(IPF)の抗線維化薬であるピルフェニドンとニンテダニブには、その治療効果の指標となるバイオマーカーはない。また、血清SP-A、SP-D、KL-6はIPFのバイオマーカーであるが、抗線維化薬の治療効果との関連は明らかになっていない。<目的>IPF患者において血清SP-A、SP-D、KL-6が抗線維化薬の治療効果の指標となるか明らかにする。<方法>2014年1月から2018年7月までに当院で抗線維化薬を導入したIPF患者を対象とし、患者背景、治療期間、各臨床検査と血清SP-A、SP-D、KL-6の経時的変化を評価した。治療開始6か月後FVC10%以上、またはDLCO15%以上の悪化を認めたものを悪化群、その他を安定群とした。<結果>対象患者は93例で、6か月以上治療を継続していたのは49例であり、ピルフェニドンが23例、ニンテダニブが26例であった。そのうち、悪化群が17例、安定群が32例であった。安定群では、悪化群と比較して治療開始3、6ヶ月後の血清SP-A、KL-6は有意に低下していた。またSP-AとSP-Dの変化量は%FVCと%DLCOの変化量と有意に相関していた。多変量ロジスティック解析で血清SP-Aの変化量は6ヶ月後の治療効果を有意に反映していた。<結論>血清SP-Aは抗線維化薬の治療効果を反映していた。血清SP-Aは抗線維化薬の治療効果を予測する指標となる可能性がある。
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BMC Pulmonary Medicine
巻: 20 ページ: -
https://doi.org/10.1186/s12890-020-1060-y