研究課題
当科喘息・慢性咳嗽外来で呼気NO濃度測定を導入した2013年3月から2017年3月までの遷延性・慢性咳嗽症例を対象に、主要な原因疾患である咳喘息、胃食道逆流症、副鼻腔気管支症候群、感染後咳嗽について治療前診断手法の候補を後方視的に決定するべく、現時点で100例余のデータ収集を終えた。また候補となるバイオマーカー測定のためのELISAキットなども購入し、予備的測定を開始している。本研究に関連する研究実績として、吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬などの標準的治療に咳が抵抗する喘息(一部咳喘息)患者17例において、長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウムが咳症状とカプサイシン咳受容体感受性を有意に改善させたことを報告した (Fukumitsu K, et al. Tiotropium Attenuates Refractory Cough and Capsaicin Cough Reflex Sensitivity in Patients with Asthma. J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Feb 3 [Epub ahead of print]).またチオトロピウムをも含めた種々の治療に抵抗した難治性喘息性咳嗽に気管支熱形成術が著効した症例を報告した(Kanemitsu Y, et al. Bronchial Thermoplasty for Severe Asthmatic Cough..Ann Intern Med. 2018 Mar 13. [Epub ahead of print]).
4: 遅れている
本研究は研究協力者である大学院生の黒川良太が中心に取り組んでいるが、黒川は平成29年度は社会人大学院として関連病院に勤務したため、データ収集は実質的に週末に大学病院に出向して行なっていた。しかしながら勤務先で重症患者が発生したりするなど、大学に出向できなくなる事態も度々発生し、その結果データ収集に遅れが生じた。他の大学院生は論文執筆、自身の学位申請の準備などに追われており、教員も診療、教育などの日常業務が多忙で、助けを借りることは困難であった。
本年度から黒川は大学病院に常在し、研究に専念できるため、すでにペースを上げてデータ収集に取り組んでいる。あと数か月で終了し、最終的には200例程度になると想定している。その後方視的解析から前方視的研究に組み入れるべき有力な治療前診断手法候補をピックアップする予定である。
海外出張が少なかったため。次年度は出張費用、バイオマーカー測定用キット購入などに使用する予定である。
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