研究課題
呼気NO濃度測定を導入した2013年3月から2017年3月までの100例余の遷延性・慢性咳嗽症例を対象とした咳喘息、胃食道逆流症 (GERD)、副鼻腔気管支症候群、感染後咳嗽について治療前診断手法の候補の後方視的な決定、候補となるバイオマーカーの予備的測定に加えて、平成30年度は、GERDの重要性と、GERDによる慢性咳嗽におけるFスケール問診票(FSSG)の有用性を検証する目的で、2012年4月から2018年3月までの初診312例まで解析症例数を拡大した。その結果、GERD単独による咳嗽例は37例(11.9%)、他疾患との合併例をカウントすると143例 (45.8%)にGERDを認めた。またGERD症状は治療抵抗性に寄与していた(Kanemitsu et al. Clinical impact of gastroesophageal reflux disease in patients with subacute/chronic cough. Allergol Int, in press)。またFSSG、末梢血好酸球数のデータが得られた 256例 を解析したところ、FSSGのAUCは0.71、末梢血好酸球数<150/μl の例に限るとAUCは0.74と、FSSGの診断的有用性が確認された(黒川ほか、論文執筆中)。さらに咳喘息症例で誘発喀痰を採取できた症例の検討で、咳喘息では喘鳴を伴う喘息と比較して中枢気道の好酸球性炎症の優位な存在を明らかにし、病態や治療薬の選択における有益な知見を示した(Takeda et al. A preliminary study of novel asthma phenotyping by the predominant site of eosinophilic airway inflammation: Use of dual-phased sputum induction. Nagoya Med J, in press).
2: おおむね順調に進展している
後ろ向き検討については、研究実績の概要で述べたように大幅に症例数を拡大し、複数の成果も残すことができた。
前向き検討については引き続き症例の集積を継続している。バイオマーカーに関してELISAなどによる測定を進めている。外注検査である寒冷凝集反応についてはすでにデータが得られているため、現時点でのデータを解析して副鼻腔気管支症候群における診断的有用性の検証を行う。
研究資金の一部が他の財源で賄えたこと、参加を予定していた国際学会の一部から招請を受けたことで参加費用などが削減できたことによる。次年度に予定しているバイオマーカー測定のための検査・消耗品購入、国内外の学会などの参加・出張費用などにあてる予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 図書 (2件)
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to be confirmed
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