研究課題/領域番号 |
17K09625
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
党 雅子 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90595597)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 肥満 / ステロイド抵抗性 |
研究実績の概要 |
気管支喘息治療は、吸入ステロイド導入により著明な進歩をとげたが、今なおステロイド抵抗性の重症喘息患者が5~10%存在する。ステロイド抵抗性重症喘息に対する新規治療薬の開発は、重要な課題である。肥満を伴う重症喘息は、近年注目を集めているフェノタイプのひとつである。肥満は気管支喘息の重症化因子として臨床的に認識され始めているが、その機序については十分解明されていない。 我々は、重症喘息患者487 人について、肥満の影響を調査した。その結果、肥満を伴う患者では、非肥満の患者と比較して、日常の吸入ステロイド(コントローラー)の使用量は差がないものの、急性増悪による予定外受診回数が有意に多いことが判明した。さらに、肥満を伴う重症喘息患者では、非肥満の患者と比較して、ステロイドの感受性が低下していることを証明した。 現在、肥満を伴う重症気管支喘息患者における、ステロイド感受性の低下の機序の解明をめざして研究を進めている。①重症喘息患者をリクルートし、採血および臨床データの収集を行うとともに、末梢血単核球(PBMC) を用いたex vivo の系で、ステロイドの感受性の測定を行っている。②PBMCから得られたwhole cell extractと総RNA、および血漿(-80℃で冷凍保存)を用いて、PBMC 中のAMKP の活性、および血漿中のアディポサイトカインを測定する予定である。③ 上記①と②のデータを解析し、ステロイドの感受性と関連がある因子を探索する。④ 上記③の結果をもとに、肥満により生ずる分子生物学的変化とステロイドの感受性低下をつなぐシグナルについて、培養細胞の系で、分子生物学的手法を用いて証明する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、重症喘息患者をリクルートし、採血および臨床データの収集を行うとともに、末梢血単核球(PBMC) を用いたex vivo の系でステロイドの感受性の測定を行い、さらに目的とする蛋白やmRNAの定量のための検体処理を行う予定であった。1年間にリクルートできた人数が目標人数に達していないため、次年度も継続して、上記作業を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、重症喘息患者をリクルートし、採血および臨床データの収集を行なっていく。半年以内には、目標数に達すると思われる。臨床検体が目標数に達したら、PBMCのwhole cell extractと総RNA、および血漿(-80℃で冷凍保存)を用いて、PBMC 中のAMKP の活性、および血漿中のアディポサイトカインの測定を行う。臨床検体の収集と並行して、各種測定方法の最適化が完了しているので、臨床検体の数が目標数に達した際には、スムーズに各種測定や解析ができ、初年度の遅れは取り戻せると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に、患者ボランティアのリクルートと臨床検体の収集の遅れが生じたため、その分、未使用額が生じた。次年度に、追加の患者リクルートと臨床検体の収集を行う予定であり、その費用に充てる予定である。
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