研究課題/領域番号 |
17K09628
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
渡辺 雅人 杏林大学, 医学部, 学内講師 (00458902)
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研究分担者 |
皿谷 健 杏林大学, 医学部, 講師 (40549185)
滝澤 始 杏林大学, 医学部, 教授 (80171578)
田村 仁樹 杏林大学, 医学部, 助教 (80616607)
本多 紘二郎 杏林大学, 医学部, 助教 (20802995)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | sST2 / 重症喘息 / 気管支上皮細胞 |
研究実績の概要 |
臨床研究: (1) 集積済みのコホートの解析:血清sST2高値(>18 ng/ml)は、3ヶ月以内に喘息発作を起こすリスクが高く、ハザード比(HR)は9.2であった。血液好中球数増多(>6,000/uL)も、3ヶ月以内の発作リスクが高く、HRは26であった。多変量解析で、両者は独立した発作のリスク因子であった。この結果から、新規重症度スコア(血清sST2高値=1点、血液好中球増多=2点)を定義すると、新規重症度スコアが喘息発作を予測する精度はROC解析でAUC 0.91と極めて良好であった。本スコアの最重症型であるスコア3は、発作を起こすHRが426で、86%の患者が3ヶ月以内に発作を起こした。また、血清sST2は血清IL-8・呼気H2O2と相関し、気道炎症を反映すると考えられた(2)新コホートの集積:マクロライド治療を喘息患者で行うための倫理委員会の承認が遅れた。2018年3月に条件付きで承認された。2018年度には、新コホートの集積が開始できる見込みである。
基礎研究:気管支上皮細胞のcell line (BEAS-2B)細胞の解析を用いて解析した。 (1)sST2の産生刺激:BEAS-2B細胞は無刺激でsST2を産生しており、炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1β)、TLRリガンド(LPS、PamCSK4、LTA、poly (I:C))がsST2産生を強く刺激し、Th2サイトカイン(IL-4、IL-13)、Type-I IFNが弱く刺激し、INFγが抑制した。(2)sST2の産生メカニズム:SiRNAを用いてシグナル伝達経路をノックダウンし、sST2の産生メカニズムを解析した。BEAS-2B細胞では、NFκB、p38、Erk1がsST2産生を促進し、Erk2が抑制した。これらは、sST2が気道炎症を反映する臨床研究の結果を支持した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究: (1) 集積済みのコホートの解析は順調に推移している。現在論文を投稿中である。(2)新コホートの集積:マクロライド治療を喘息患者で行うための倫理委員会の承認が遅れた。これは、昨今の臨床研究を行う上での倫理指針の厳格化が大きく影響した。しかし、2018年3月には条件付きで承認されたため、計画通りの研究を行う目途が立った。
基礎研究:(1)sST2の産生刺激:この研究は、当初の計画通りに推移した。 (2)sST2の産生メカニズム:当初の計画通りに推移した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、概ね当初の計画通りに研究が進捗している。 臨床研究:新コホートの集積を行う。 基礎研究:気管支上皮細胞でのIL-33とsST2の相互作用を解析する。 今後も計画通りに研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.基礎研究が順調に推移し、試薬費用が抑えられた。 2.臨床研究では、マクロライド治療の倫理委員会の承認が遅れたため、この分の研究費を未使用のまま次年度に持ち越した。
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