背景:IgA は生体内において1 日当たり最も大量に産生される免疫グロブリンであり、粘膜で重要な生体防御機構を形成していると考えられている。アレルギー疾患の中でも代表的疾患である気管支喘息では、特に重症例において、肺線維芽細胞(NHLF)による気道リモデリングを認める。 目的:本研究は IgAの気道上皮細胞、肺線維芽細胞など気道構成細胞に対する作用を解明することを目的とする。 方法: IgA単量体、sIgA(分泌型IgA)が気道上皮細胞、NHLFに与える影響を解析した。また、肺内のIgAの局在を明らかにするため、免疫染色法を用いて、健常肺、線維化肺のIgAを染色した。 結果: sIgAはCD71を介して、気道上皮細胞、肺線維芽細胞を活性化することが明らかになって。 また、特発性肺線維症(IPF)患者の肺においては、気腔内にIgA、SCが強陽性に染色され、健常人ではほとんど染色されなかった。 考察:sIgAは線維化肺で強く発現しており、そのような病態においては肺内に貯留したsIgAが、気道上皮細胞や肺線維芽細胞を活性化することで、病原性の役割を演じることが示唆された。
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