研究課題/領域番号 |
17K09636
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター |
研究代表者 |
新井 徹 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター, 呼吸不全研究部長 (00537772)
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研究分担者 |
松室 昭子 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, その他部局等, その他 (00470196) [辞退]
井上 義一 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター, 臨床研究センター長 (90240895)
広瀬 雅樹 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター, 流動研究員 (90470195)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特発性間質性肺炎 / 急性増悪 / 予後予測 / 発症予測 |
研究実績の概要 |
特発性肺線維症(IPF)を含む特発性間質性肺炎(IIPs)の急性増悪は予後不良である。我々の研究は、IIPの症例において、急性増悪の予後や急性増悪の発症を予測することを目的とし、急性増悪の病態解明や治療につながる新たな知見が明らかになると考えている。 【研究1】我々はIIPsの急性増悪(AE-IIPs)に対する可溶性thrombomodulin(sTM)製剤の効果を検証する前向き試験(SETUP試験)を行なった。SETUP試験は前向き多施設共同試験であり、Propensity scoreを用いた検討でsTM製剤による治療がAE-IIPsの予後を有意に改善することを示し、2019年にその結果をRespirologyに論文報告した。さらに、SETUP試験の二次解析でsTMは重症の急性増悪で有効であることを論文にて報告した。このSETUP試験で計画に基づいて採取した血清検体を用いて、血清中の各種サイトカインをBioPlexを用いて測定した。過去の我々の報告にもあるようにIL-7は予後因子となる可能性が示唆された。IL-7以外に、IL-13、GM-CSF、PDGFなどが有意な因子であった。ステップワイズ法を用いた多変量解析ではIL-7、及びFactor Xが選択され、Factor Xが最も有意な因子であった。この結果については、American Thoracic Societyにおいて報告予定であったが、新型コロナウィルスの蔓延のため中止となった。現在、論文作成中である。 【研究2】229例のIIPs症例の診断時の血清を用いて急性増悪の発症を予測するバイオマーカーの開発を行う。特に研究1で急性増悪の予後を反映するバイオマーカーが、急性増悪を予測する因子となる可能性があるかを検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年にBioPlexの測定機器の不調により測定が遅れた。機器が復旧の後、研究2のIIPの急性増悪予測のための血清マーカー測定を行う予定であった。しかし、BioPLexのコントロール機器の不調を生じ、測定が遅れた。さらに、新型コロナウィルスの影響でELISAキットの調達も遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究1についてはBioPLexによる測定結果に基づき、ELISAで結果の検証を行う。また、研究2についても機器の不調が改善したため継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度サイトカインの測定器具の故障により研究が中断しました。故障から回復後、測定を行い、その結果を受けて 追加の研究を行う予定でした。しかし、新型コロナウィルス感染症のため、測定キットの調達が遅延しました。また、 同時に測定器具の故障が判明しましたが、その修理のための部品調達にも時間を要しています。その結果、2019年に予定していた測定、その結果を受けた論文化などが遅れました。したがって、予算の執行が2020年度に一部繰越し、研究の終了も繰り越すこととなりました。2020年度に研究を終了し、論文化を実現したいと考えています。
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