研究課題
研究目的1:特発性間質性肺炎急性増悪(AE-IIP)は予後不良の病態であり、我々はSETUP試験においてthtombomodulin(TM)投与がその予後を改善することを示した。急性増悪発症時のサイトカインと予後との関係は十分に検討されていないため、AE-IIP治療開始時の血清サイトカイン濃度と90日以内死亡の関係を明らかにすることを目的に検討を行った。SETUP試験のTM投与群28例が対象で、idiopathic pulmonary fibrosis(IPF)8例、non-IPF20例であった。急性増悪時の血清サイトカインをBioPlex (BIORAD)にて測定し予後との関係をロジスティック回帰にて検討した。臨床的パラメータの中では急性増悪時のHRCTパターン、急性増悪前の抗線維化薬投与が有意な因子であった。多変量解析では診断時のRANTES低値が最も有意な90日以内の死亡規定因子であった。RANTES低値は臨床的な予後不良因子で補正しても有意な因子であった。この結果については、BMJ Open Respir Rs 2021; 8: e 000899にて報告した。研究目的2:IPFの急性増悪、予後を予測する診断時のサイトカインの検討を行った。BioPlexを用いて69例のIPFの診断時血清中のサイトカイン測定を行った。コックス比例ハザード法による検討では、測定した血清サイトカイン濃度は予後や急性増悪発症の予測には役立たなかった。肺内の単位体積肺あたりのサイトカイン産生を反映すると考えられる指標として、血清サイトカイン濃度/%FVCを考案し、多変量コックス比例ハザード法で予後、急性増悪の予測因子としての意義を検討した。PDGF/%FVCはいずれの予測についても有意な因子であった。この結果については、J Thorac Dis 2022; 14: 278-294にて報告した。
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Journal of Thoracic Disease
巻: 14(2) ページ: 278-294
10.21037/jtd-21-1418
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巻: 8 ページ: e000889
10.1136/ bmjresp-2021-000889