研究課題/領域番号 |
17K09637
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研究機関 | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
研究代表者 |
立花 直子 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 睡眠医学研究部, 部長 (10291501)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 経鼻的持続陽圧呼吸療法 / 不眠 |
研究実績の概要 |
関西電力病院睡眠関連疾患センターにて半年以上経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法を受けている閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者に対して、CPAP機器に記録されている使用データをダウンロードし、アドヒアランス良好な患者(1夜の使用時間が平均4時間以上かつ全体の日数の80%以上を使用している者)を抽出した。平成30年度は9名の患者の協力が得られた。これらの患者に対して、以下を実施した。①腕時計型の携帯型活動量計を装着させ、14日間の睡眠・覚醒リズムを記録した。その際に本人の自覚と大きく離れることがないかどうか(睡眠認知の歪みの有無)も調べるために自記式の睡眠日誌も併用した。②携帯型睡眠評価装置を自宅に持ち帰り検査とし、CPAPを使用している任意の1夜について残存する無呼吸・低呼吸と睡眠内容とを数値化、③来院時に反応時間検査装置を用いてパフォーマンス(覚醒レベルの数値化)をした。CPAPを使用してもある程度の無呼吸・低呼吸が残存していることは、前年度のデータと同様であったが、本人の自覚的な眠気の程度とは関係していなかった。また、CPAP開始前から不眠の自覚がある者については、自覚的な治療効果が出にくい傾向があった。さらに③によって測定されるパフォーマンスについては、年齢に左右される側面があり、OSAS患者群において眠気の絶対評価に使いにくい可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
CPAP治療を受けている患者は、全般的に健康で定職についている者が多く、特にCPAP使用頻度、時間が十分である者(アドヒアランス良好な患者)においては、治療の現状に満足していると同時に多忙であることから、協力が得にくかった。したがって、通院患者の中で研究にエントリーできる者を確保するのに苦労し、目標の患者数20例を達成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
自宅検査によるデータ収集が中心となっている研究であるが、現実的に症例数を増やすことに無理が生じてきているため、多数例の統計的処理に持ちこむのではなく、一つ一つの症例を細かく検討し、ケーススタディを密に行っていく。同時にアドヒアランス良好な患者がどのようにOSASという疾患やCPAP治療を認識しているかということについても調べ、CPAPデータに反映されない高アドヒアランス患者の特徴を抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
もともと年度初めにすでに次年度使用額が生じていたことが一番の理由である。加えて、検査機器使用説明、機器データダウンロードおよびデータ入力作業はアルバイト勤務者に行ってもらっているが、現在の従事者が家庭の主婦であるため、自宅の事情を優先しなければならず、アルバイト勤務者が得られない場合には、その分を研究者自らが行っていた。したがって、謝金として計上していた分も余ることとなった。
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