経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法を受けている閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者に対して、アドヒアランス良好な患者を抽出し、協力の得られた患者に対して、主観的な睡眠データと客観的な睡眠および覚醒レベルのデータとを収集した。すべてのデータが解析可能であった者は17名(男性16、女性1 61.3±8.6歳)であった。当初目標とした症例数より大幅に少なくなった理由として、エントリー候補者の多くが健康で多忙であり、すでに高アドヒアランスを達成し、CPAP使用の現況に満足していることが伺えた。17名について、CPAP治療下で残存している無呼吸・低呼吸の程度や睡眠時間と眠気との間に一定の傾向が認められなかったことから、高アドヒアランス患者の使用満足度をさらに上げるための一定の方策はなく、個別対応が重要であると考えられた。その理由として、教科書的には、「眠気を減らしてQOLを上げ、かつ将来の血管イベントを防ぐ」ことがCPAP治療の第一目的とされているが、前者と後者のいずれを目標とするかは患者ごとに異なり、前者にはライフスタイルが大きくかかわり、後者は他の予防策や治療手段がなされているかという因子が影響し、「使うと眠気がなくなり快適なので使う(前者)」と「我慢してでも使わないと大変なことになる(後者)」とでは、高アドヒアランスが得られる理由が違ってくるからである。こういった理由から、どの高アドヒアランス者にとってもCPAP使用の快適度を上げるための方策として、CPAP使用時のトラブルシューティングがあるかどうかを調べ、内容を整理し、構造化することを行った。その結果、CPAPマスクやホースの適切な使用方法と日常の手入れ方法をそれぞれの患者に合った形で提示すること、外付けないしは内蔵加湿器を抵抗なく使用できるためのノウハウを提供していくことが特に重要であることがわかった。
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