研究課題/領域番号 |
17K09641
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石沢 興太 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (60400313)
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研究分担者 |
堀井 明 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (40249983)
三森 隆広 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (40760161)
桜田 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60360872)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺がん / 胸水 / FACS / Cell sorting / EGFR mutation |
研究実績の概要 |
過去2年間に渡って集取した肺がん患者の癌性胸水検体を用いて、細胞表面抗原のフローサイトメトリー(FACS)解析、染色、EGFR遺伝子のゲノムシーケンスを行った。 胸水から細胞の回収法を確立し、正常細胞とがん細胞をFACSで分離する方法をも確立した。 この事により細胞表面マーカーCD326とCD45を用いて、がん細胞をサブグループに分けることができるようになった。従来想定されていなかったCD45陽性・CD326陽性(CD326+/CD45+DPC)の細胞集団を発見した。さらにEGFRを分子マーカーに用いて、遺伝子変異を検索した結果、EGFR変異を有するがん細胞にも多様性があることを確認した。つまり、がん細胞の表面マーカーとジェネティックマーカーを組み合わせることでがん細胞の多様性が証明できた。 この細胞集団(CD326+/CD45+DPC)は新規発見した細胞集団で、世界で初めての報告である。 次にこの新規の細胞集団がどのように肺がん患者の治療効果と予後に影響を及ぼすのかを調べた。驚くべきことにCD326+/CD45+DPC細胞は多いほど患者の治療効果も不良で、生命予後が悪い事を突き止めた。以上の発見を論文にまとめ報告した(Clin Cancer Res; 25(22) November 15, 2019)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の最終年度は、high throughput screen研究を計画し、臨床応用するのに更に細胞の解析をすすめる予定であった。しかし、研究機関の事情により地方病院の診療支援のため4ヶ月間出向することになり、スパコンを用いたRNAをシークエンス解析、遺伝子発現解析、シングル細胞RNA(scRNA) 解析などの高度な研究は困難となった。そこで、研究期間を1年間延長し、上記の解析を東北大学復帰後に再開する。
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今後の研究の推進方策 |
以上のように肺がん細胞の細胞集団の中に多様性が存在することが証明できたところまで進んだので、今後はそれぞれのがん細胞の生物学的特徴を同定して行きたいと考えている。それぞれの細胞集団のバルクRNAをシークエンス解析して、がん細胞の発現している遺伝子を解析し、更にシングル細胞RNA (scRNA) 解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の最終年度は、high throughput screen研究を計画し、臨床応用するのに更に細胞の解析をすすめる予定であった。 しかし、研究機関の事情により地方病院の診療支援のため4ヶ月間出向することになり、スパコンを用いたRNAをシークエンス解析、遺伝子発現解析、シングル細胞RNA(scRNA) 解析などの高度な研究は困難となった。そこで、研究期間を1年間延長し、上記の解析を東北大学復帰後に再開する。
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