研究課題/領域番号 |
17K09660
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
隈元 朋洋 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (20622517)
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研究分担者 |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
水野 圭子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (50531414)
上川路 和人 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (80633396)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 小細胞肺癌 / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
申請者は、肺扁平上皮癌で発現が低下しているmicroRNA-218に着目し、microRNA-218が肺扁平上皮癌細胞の遊走および浸潤を抑制している「腫瘍抑制型マイクロRNA」である事を報告している。microR-218はTumor Protein D52 (TPD52) を直接制御し、TPD52は、肺扁平上皮癌臨床検体で高発現しており、TPD52のノックダウンにより癌細胞の遊走および浸潤を顕著に抑制した。更に、TPD52が制御する機能性RNAネットワークの探索を行い、TPD52が、細胞周期や細胞分裂に関わる遺伝子を多数制御している事を見出した。これらの事から、機能が明らかとなったマイクロRNAを起点として、マイクロRNAが制御する癌細胞内のRNAネットワークを描写できる事を見出した。同様の方法を用いて、難治性の疾患である小細胞肺癌についてもマイクロRNAを用いて腫瘍促進に関わる分子ネットワークの解析を行うことを本研究の主目的とした。 現在、治療抵抗性・小細胞肺癌マイクロRNA発現プロファイルを作成中である。化学療法後に治療抵抗性となり、腫瘍の進展により死亡し、平成29年度に病理解剖を行った進行期小細胞肺癌3症例についてサンプル採取を行った。原発巣および各転移巣について正常部および癌部のサンプルを採取し、各検体からRNA抽出を行い、次世代シークエンサーを用いてそれぞれの検体由来のRNAの網羅的解析を行った。現在、癌部と非癌部におけるマイクロRNAの発現の比較検討を行い、「治療抵抗性・小細胞肺癌マイクロRNA発現プロファイル」を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍の進展により死亡した小細胞肺癌患者の病理解剖検体を用いて、網羅的解析を行い、「治療抵抗性・小細胞肺癌マイクロRNA発現プロファイル」を作成中であるため、当初の予定に近い形で進行している。 今後も計画に沿って進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
正常肺組織と比較して、発現が変化しているマイクロRNAについて、小細胞肺癌由来の細胞株を用いて、機能解析を行う。 肺扁平上皮癌細胞において、発現が抑制されているマイクロRNAに着目し、癌細胞株にマイクロRNAを核酸導入する事で、マイクロRNAの機能解析を行った実績を有する。マイクロRNA発現プロファイルに基づき、小細胞肺癌で発現が抑制されているマイクロRNAの機能解析について問題は生じない。小細胞肺癌で発現が亢進しているマイクロRNAについては、inhibitorを用いてマイクロRNAの発現を抑える解析を行う。申請者は、予備的検討として、これまで癌抑制機能が示されているマイクロRNAを小細胞肺癌由来の細胞株 (NCI-H-446) に核酸導入した実験を行い、複数のマイクロRNAが、癌抑制機能を有する事を認めている。機能が明らかとなったマイクロRNAを起点として、小細胞肺癌の機能性RNAネットワークの探索を行い、治療抵抗性に至った癌細胞内で活性化している分子経路を見出す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬、消耗品について他の研究と共通して使用していたため。 今後、機能解析を含めたアッセイの試薬、消耗品の購入、解析のために使用する予定。
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