研究課題/領域番号 |
17K09664
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
太田 洋充 自治医科大学, 医学部, 講師 (40451562)
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研究分担者 |
萩原 弘一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
海老名 雅仁 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10280885)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ムチン / 薬剤性肺障害 / 遺伝子解析 / 発現ベクター |
研究実績の概要 |
日本人は他国民と比較して、致死的な薬剤性肺障害の頻度が高い。その病理像は、重篤な好中球性炎症によるびまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage: DAD)である。本研究グループは日本人に薬剤性肺障害に関係する遺伝的な要因があると予想した。DADと診断された患者の検体を収集しエキソーム解析を行い、肺で発現するムチン、MUC4を原因遺伝子の候補として同定した。さらに、DADの原因となる遺伝子変異が、繰り返し配列(VNTR)領域に存在すると予想し解析を進めた。患者検体とコントロールとして市販されているDNAサンプルの計47検体について制限酵素による切断パターンをsouthern blottingにより解析し、少なくとも6パターンあることを示した。さらに、DAD患者群では特定のパターンが多い傾向にあることを示した。さらに、現在、次世代シークエンサーを利用し、患者群でのMUC4のシークエンスパターンを解析中である。また、VNTRの6パターンのうち、頻度の高いと考えられる4パターンの遺伝子をクローニングし、発現ベクターを作成した。ただし、発現ベクターを実際に培養細胞に導入したところ、導入効率は10%以下であった。そのため、MUC4の安定発現細胞株を作成する方針とし、MUC4発現ベクターをepisomalベクターで作成した。今後、それぞれのVNTRパターンごとにMUC4の安定発現株を作成しMUC4の機能解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
MUC4の発現ベクターを作成し解析を進める方針であったが、発現ベクターが巨大であり、培養細胞への導入効率は10%以下と不良であった。そのため、MUC4の機能解析を行うことができなかった。また、発現ベクターの作成に時間を消費し、肺癌患者の切除肺からの気道上皮細胞の初代培養細胞の作成を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
MUC4の機能解析のため、MUC4の安定発現株作成のためのepisomalベクターを作成した。また、MUC4発現ベクターの細胞株への導入効率を上げるため、エレクトロポレーターの使用など、条件検討を進めている。MUC4の安定発現株を早急に作成し、すでに作成済みのERBB2、ERBB3発現ベクターを用いてMUC4の機能解析を行う予定である。また、肺癌患者の切除肺から気道上皮細胞の初代培養細胞を作成し、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
MUC4の培養細胞への遺伝子導入が進まず、培養細胞を用いたMUC4の機能解析を行うことができなかった。また、肺癌患者の切除肺からの初代気道上皮細胞の作成を実施することができなかった。翌年度は、MCU4の安定発現株を作成し、機能解析を進める予定である。
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