研究課題
近年肺癌の分子レベルでの異常を標的とした分子標的治療薬が盛んに開発されている。それにより一部の肺癌患者の予後は改善した。しかし、依然肺癌患者の予後は不良である。現在も盛んに肺癌の基礎研究が行われているが、そこから得られた知見が十分に臨床現場に還元できていない現状がある。本研究の目的は、肺癌の基礎研究から得られる知見を患者毎に臨床応用するシステムを構築することである。具体的には、我々が確立した研究基盤、臨床検体を統合的に使用し、①患者毎に分子標的治療薬に対する耐性機序の解明、②稀な遺伝子変異を有する肺癌に対する最適な治療法の解明を行い患者生存中に得られた知見を臨床現場に還元する。①本研究を通して肺癌における分子標的治療薬に対する耐性化機序を複数同定した。その一部は原著論文として報告した(Manabe T, Yasuda H et al Mol Can Res 2020)。本内容は肺癌で最も多く使用される分子標的治療薬であるEGFR tyrosine kinase阻害薬に対する耐性化にIGFリガンドが関与することを明らかにした。②稀な遺伝子変異を有する肺癌の臨床データを我が国最大の癌臨床ゲノム解析ネットワークであるSCRUM-Jaoanと共同で集積するとともに、稀な遺伝子変異を有する肺癌に対するスーパーコンピューターを用いたin silico薬剤感受性予測モデルの有用性を提唱(Ikemura S, Yasuda H et al, PNAS 2019)し、稀な遺伝子変異を有する肺癌に対する治療戦略を提案した。その他、本研究の中で肺癌診療における有用な知見を複数公表した(Oashi A, Yasuda H et al. Mol Can Ther 2019, Hasegawa H, Yasuda H et al. Lung Cancer 2019など)。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件)
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