研究課題/領域番号 |
17K09668
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 匡 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10596993)
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研究分担者 |
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 教授 (10226681)
高橋 史行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70327823)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) / miR-146a / microRNA / エクソソーム / 気管支洗浄液 / 気道上皮細胞 |
研究実績の概要 |
これまでに我々は、COPD肺での増幅し遷延する「異常な炎症」がmicroRNA(miR)-146aにより制御されうることを、肺線維芽細胞を用いた解析により明らかにし報告している。本研究を通じて、気道上皮細胞の培養上清およびマウスBALFから超遠心法を用いることで、解析に十分なエクソソームを抽出できることを実証した。さらに、in vitroおよびin vivoいずれの実験系においても、たばこ煙およびLPSやIL-1β/TNFαといった炎症誘導物質の投与により、エクソソームの分泌量が増加し、さらにエクソソームに含有されるmiR-146aも増加することを見出した。こうした一連の成果から、miR-146aは、COPDの重要な病態である過剰な炎症反応を制御しうると考えられる。そこで、今年度はmiR-146aノックアウト(KO)マウスを用いて、エラスターゼ誘導性肺気腫発症にmiR-146aが与える影響について検討を行った。 8週齢の雄miR-146aKOマウスと対照マウス(C57BL/6J)それぞれにエラスターゼ1.5単位、3単位を経口投与し、4週間後に解剖を行い、肺組織の評価を行った。その結果、対照マウス、miR-146aKOマウスいずれにおいてもエラスターゼ用量依存性に肺気腫を発症したが、その程度はmiR-146aKOマウスで有意に顕著であった。さらに、タバコ煙曝露による肺気腫発症についても検討を行ったが、8週間の比較的短期間曝露での比較では、対照マウスとmiR-146aKOマウスとで明らかな差は認められなかった。より長期間の曝露あるいは、急性増悪モデルでの検討が、miR-146aの役割を検討する上で有用である可能性を考えている。
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