研究課題
同定した候補マイクロRNA(miRNA)であるmiR-Xと他の複数のmiRNAに対し、定量的リアルタイムPCRを用いて20種類の非小細胞肺癌細胞株とヒト線維芽細胞株における各発現レベルを確認した後、miR-Xに対するin vitroアッセイを行った。miR-X発現が低下している非小細胞肺癌細胞株のうち、SQ5とRERF-LC-AIの2種類の肺扁平上皮癌細胞株に、miR-Xに対するmimicを導入してmiR-Xを過剰発現させた。Cell growth assayでは、miR-X過剰発現細胞株が陰性コントロールのmiRNA mimicを導入した各細胞株と比較して、有意に細胞増殖が抑制された。さらに、各々のmiR-X過剰発現細胞株では、陰性コントロールのmiRNA mimicを導入した各細胞株に比し、上皮間葉転換(EMT)の上皮系マーカーであるEカドヘリン発現の亢進が見られた。また、ヒト肺線維芽細胞株のIMR-90を用い、transforming growth factor(TGF)-βを添加後、miR-X mimicまたは陰性コントロールのmiRNA mimicを細胞内導入してα平滑筋アクチン(SMA)の発現を比較したところ、miR-X mimicを導入したIMR-90で、有意に発現の低下が見られた。以上から、miR-Xは非小細胞肺癌において、EMTを負に制御することで腫瘍細胞増殖を抑制することが示された。また、肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は肺線維化の指標と考えられ、αSMA発現亢進は筋線維芽細胞分化を反映しており、本研究結果から、miR-Xは肺線維化を抑制すると考えられた。さらに、in vivoにおけるmiR-X機能の検証として、疾患モデルマウスを作製してmiR-X mimicの尾静脈注入によるmiR-X全身投与を行い、in vitroアッセイとの結果の一致を確認した。
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