研究実績の概要 |
① ヒト肺線維芽細胞株を用いて、fibroblastのmyofibroblast への分化への影響を検討した。線維芽細胞をエンドスタチンで前処理後にTGF-beta 1を添加したが、alpha smooth muscle actinの発現に変化は見られず、筋線維芽細胞への分化は抑制されなかった。またヒト肺胞上皮細胞株を用いて、上皮間葉転換へのエンドスタチンの影響を検討した。A549細胞をエンドスタチンで前処理後にTGFーbeta 1を添加したが、E-cadherinの低下やVimentinの増加に変化は見られず抑制されなかった。 ② 肺線維症モデルマウスを用いて、エクソソーム由来のmicroRNAとの関連を解析した。 まずC57BL/6マウスで、浸透圧ポンプを用いてブレオマイシン(BLM)誘発肺線維症モデルマウスを作成して、エクソソーム由来のマイクロRNAの経時的な変化を観察した。BLM投与前(day 0)、投与後day7,14, 21, 28にマウスの血清からexosomeを単離した。その後exosome中のmicroRNAを抽出し、microRNA arrayで解析した。BLM投与後7日目に、miR-22の有意な上昇を認めた。ヒト肺線維芽細胞を用いた検討では、miR-22はTGF-beta1により誘導される筋線維芽細胞への分化を抑制したが、これはmiR-22によるERK1/2経路の抑制である事が確認された。さらにmiR-22は、TGF-beta1の存在下でconnective tissue growth factor (CTGF)の発現を抑制した。BLM肺線維症モデルマウスにday10に尾静脈よりmiR-22を投与した所、肺線維化は有意に抑制され、alpha smooth muscle actinの低下を伴っていた。
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