研究課題/領域番号 |
17K09677
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
磯谷 澄都 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10351032)
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研究分担者 |
山本 直樹 藤田医科大学, 研究支援推進本部 共同利用研究設備サポートセンター, 准教授 (00267957)
今泉 和良 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50362257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 単球 / iPS細胞 / 喘息 / 制御性T細胞 / HLA-DR / IL-35 |
研究実績の概要 |
現在の治療薬では喘息の病態コントロールが難しい難治性喘息患者が未だに多数存在する。本研究では喘息を誘発する特異的抗原に反応する免疫系細胞を制御する制御性T細胞(regulatory T Cell:Treg)を人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cell:iPS細胞)から分化誘導し、その細胞を用いた喘息の基本的病態を根本的に制御する新規治療法の可能性を追求するものである。 2018年度の研究実績として、我々が独自の手法で作出することに成功したヒト単球由来iPS細胞の作製実験とリプログラミング時の細胞viabilityについて数回再現実験に成功した。これまでに単球から市販されているiPS細胞作製ベクターを用いてiPS細胞を作製することに成功した報告例は無かったため、iPS細胞の作製およびiPS細胞としての証明に関する成果をまとめて、論文発表(Cell Reprogram 20(6), 347-355,2018.)した。 さらに単球由来iPS細胞からも複数回分化誘導実験を行い、単球および樹状細胞へ分化誘導することに成功した。分化誘導した樹状細胞は、異なる複数の抗原曝露によって樹状細胞の抗原提示能の指標となるHLA Class2のHLA-DRの発現増加を確認した。 2018年度に購入し、培養実験に展開できるよう準備したOP9-DL1支持細胞は、共培養することでES細胞由来造血幹細胞および造血前駆細胞をT細胞系に分化誘導できることが報告されており、単球由来iPS細胞を用いてT細胞系への分化誘導が検討できる準備を整えた。 IL-35を用いた免疫制御性T細胞(Treg)の予備実験を行ったが、IL-35のみではTregに分化誘導させることができなかったため、今後、更なる培養条件の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018度では、本研究の主体の1つである単球からのiPS細胞の作製、さらに単球由来iPS細胞からの単球および樹状細胞への分化誘導について複数回再現実験に成功した。 これまでに単球から市販されているiPS細胞作製ベクターを用いてiPS細胞を作製することに成功した報告例は無かったため、iPS細胞の作製およびiPS細胞としての証明に関する成果をまとめて、論文発表(Cell Reprogram 20(6), 347-355,2018.)した。
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今後の研究の推進方策 |
再生医療研究の進捗において、複数回の再現実験をできることは、非常に重要な観点であると考えており、今後も確実な実験進捗と再現確認を行っていく。 現在、実施している分化誘導条件について、さらに複数の種類の成長因子や培養条件の検討を行い、より高率的かつ特異的に樹状細胞への分化誘導を検証していく。また、2018年度で購入準備したES細胞で造血幹細胞および造血前駆細胞をT細胞系に分化誘導できるOP9-DL1支持細胞と共培養し、単球由来iPS細胞を用いてT細胞系への分化誘導を検証する。 IL-35を用いた免疫制御性T細胞(Treg)の予備実験を行ったが、IL-35のみではTregに分化誘導させることができなかったため、今後、更なる培養条件の検討を行う。 他方、免疫制御系の細胞であるTregに未熟リンパ球からの誘導作用があるIL-35について、実臨床の喘息患者血清中のIL-35を測定するため、血清サンプルの収集を今後も継続して行い、今年度後半に随時測定して、喘息病態と血清IL-35濃度についての検証を行っていく。また、今年度は最終年度にあたるため、実験進捗を加速させる必要があると考えている。
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